猟期前集中講座 2009
え〜、そろそろ猟期が気になり始める今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか?
特に、本年度ハンターデビューする方などはこの時期、期待と不安で一杯でしょう。
そんな訳で今回は、今年デビューする新人ハンターさんを対象に

『案ずるな新人ハンター 豆鉄砲の日本で2番目にいい加減な猟期前集中講座 』

と題しまして、猟期前の集中講座を開催してみたいと思います。

と、その前に諸注意です。
・この講座は初心者の方が対象ですので、自称ベテランの方はご遠慮下さい。
・今回も毒を吐きまくっているので、自称ベテランの方が読むと間違いなく気分が悪くなります。
・とは言っても、所詮、豆鉄砲の戯言です、話半分で読む広い心が肝心だと思います。

一時限目 弾に関連すること
この時期、射撃場に行きますと、猟期前の調整入りをしている、ベテランハンターさんなんかが居ます
んで、そう言う方と話をすると、どんな弾を使っているのかと言う話になったりします。
そうなると、『獲物へのインパクトを考えると、FX弾よりも重量弾の○○弾の方が・・・』とか言う話
になったりして、不安になったりすることもあると思いますが、ソレは本当なんでしょうか?
そう言う時は、まずベテランの人の話を鵜呑みにする前に自分で検証するべきでしょう。

銃のパワー(fp)を求める計算式   fp/lbs=弾の重さ(gr)×速度(feet/s)×速度(feet/s)/450240

この式をみて判るのは、パワー(fp)と言うのは、単純に言うと、弾の重さと速度を掛けたしたモンだと
分ります。ですから、パワーが同じで、弾の重さが違えば、速度も変わるってコトですね。
例えば、35FPの銃で、16grのFX弾と、21grのバラクーダ弾を発射した場合、バラクーダ弾の方が、パワー
は同じでも弾速は遅くなります。
そりゃ、実際に弾速計とかで計測すればパワーに差が出るかも知れませんが、そんなものは誤差の範囲
ですんで、心配は無いです。
そうなると、後は遠距離での貫通力とかの話になるかも知れませんが、少なくとも豆鉄砲のS410は、FX
弾を使用して、100mのアオクビのネックを貫通しました。他にも50mオーバーでの獲物がありますが、
90%以上の獲物で弾は貫通していたので、世間でパワーと呼ばれているものは十分あると思います。

弾速と精度
銃と弾にはそれぞれ、最良の精度を出せる弾速が存在すると思います。以前、豆知識で取り上げました、
バレルのツイストは、ある数値を元に設計しているらしいと書きましたが、その考えを延長すると、
以下の図のような概念になると思います。

これは、弾の弾速と命中精度の概念図です。グルーピングは、下に行くほど高くなります。
ですから、ある弾を銃で撃つと、弾速を上げると段々とグルーピングが良くなり、更に弾速を上げると、
今度はグルーピングが低下することを示しています。ですから、パワーを基準に物事を考えるのでなく、
精度(グルーピング)を基準に弾と弾速(充填圧)の選択をする方が、良い結果をもたらすと思います。

二時限目 スコープに関連すること
パララックス
今回は、パララックスの詳しい説明については省略しますので、知りたい方は「スコープ パララックス」
とかで検索をしてみて下さい、その原因が解ると思います。
それで、パララックスと言うのは、結局、スコープを覗く眼の位置が毎回同じで、ズレてさえいなければ、
パララックスが発生していても影響はありません。つまりは据銃がしっかりしていれば問題ナイと言う
ことです。ですから、パララックスがどうこうと言う人は、自分で『据銃が出来ていないバカです』と
宣言するような恥ずかしいコトなので、初心者の皆さんは、くれぐれも注意しましょう。

ちなみに豆鉄砲が使っているスコープは HawkeのAirmaxって言うスコープです。
このスコープ、どう考えても高級スコープには性能で敵いませんし、実際の猟場でも獲物にフォーカス
を合わせてから発射ってコトはありません。(そもそも射場でもシャッキリとフォーカスが合ったコトが無いです)
最初から50m前後の辺りにフォーカスを合わせておいて、80%以上はフォーカスを調整するコト無く獲物
に向かって発射します。ただ、流石に20m前後とか、100m近い時には、その近辺にフォーカスを予め合わ
せておいてから使用していますが、非常にアバウトな感じでやっています。
それで不都合があるかと言えば、そんなのは全然ないので、きっとHawkeのAirmaxは極めて優秀なスコープ
だと思います(笑)
スコープの中には、フォーカスがすごくシビアなモノと、アバウトなモノがありますが、これは用途が
違うからです。フォーカスがシビアなものは主に、フィールドターゲット競技用だと思います。
フィールドターゲット競技と言うのは、任意の場所にターゲットが置いてあり、ソレを狙う競技なんで
すが、この競技、レンジファインダーとか使えません。ですからフォーカスがシビアなスコープを使用
することによって、距離を調べる訳です。距離が判明すれば競技者は予め判明しているドロップ量を調整
して競技をします。一方、実猟では獲物は動いていますし、そんなにシビアにフォーカスを合わせていたら
発砲のチャンスを失ってしまいます。所詮スコープだって道具です、性能だけで選ばすに、用途に合った
モノを選ぶのが賢い選択だと思います。

軸のズレ
昔から結構ある話しでして、『○○の軸と××の軸がズレてると・・・』って話ですが、その影響は、
無視して大丈夫です。仮にスコープの軸とバレルの軸が左右に1cmズレてたとしましょう。それで50mで
ゼロインしている場合、100mでのズレは理論的には1cmでしかありません。(弾道学とかは無視してokです)
只、10m射場で擬似的に50mゼロインとかをしていると、実際の50mや100mではトンでもないコトになって
『銃が原因だ〜!」とパニックになってしまいます。それと10m射場とかで、縮小したターゲットを使って
立射の練習とかしている方が居ますが、正直、実猟ではクソの役にも立たないと思うので、猟期前だけ
でも、可能であれば、遠征をして1度くらいは50M射場に行きましょう。

ズレと言えば、世間で、S410と思われるようなマガジンに対して、軸線がどうこうとか言われて心配に
なった方も居ると思いますが、そう言う方はマガジンを手元に用意してマガジンの中身が手でスムーズに
回転するか確認してみて下さい。S410のマガジンの蓋はプラ(今は塩ビ)なので、ネジを締めれば幾らでも
締めれます。ですので、手で中のマガジンがスムーズに回転するまでネジを緩めると、そう言ったコト
を心配する必要の無いマガジンになります。もっと言うと、S410のマガジンには軸線の問題とか元々無い
です。まぁ、自称ベテランの方がフライヤーの原因とかにするのには便利かも知れませんが、そう言うのは、
節操の無い恥ずかしいコトなので、初心者の方はくれぐれも自重しましょう。

スコープシム
最初にマウントを購入する段階で、精度の高いマウントとかを使っていれば、スコープリングにシムを
入れてたりする必要はあまり無いと思いますが、そ〜は言っても、入れなきゃど〜しようもならないって
ケースがあると思います。
そう言うのをベテランさんに相談したりすると、ヤレ、軸がブレるだの、装薬ライフルでは使わないだのと、
言いたい放題言われますが、そんなモン、必要なら入れればイイんです。
所詮、100m前後の獲物しか狙わないエアライフルですし、プレチャージなんぞ、ライフルから比べれば、
無振動・無反動ですんで、スコープに悪影響があるとは考えられないです。実際、BSAのサイトを覗け
ば、しっかりとシムを入れる場合の説明が詳しくされてます。
ただ、あんまり厚いシムを入れるのは、スコープを取り付ける時にボディを変形させる恐れもあると思う
ので、程々の厚みまでにするべきだと思います。

レンジファインダー
ものスゴク便利ですんで、是非購入して下さい。ただ、買う時には400m程度が計測出来るモノで十分です。
仮に測定精度が低くって、誤差が出たとしても数m前後でしょうし、その程度の誤差であれば、着弾位置
は誤差の範囲です。それと場所によっては計測不能になったりもしますが(水面に一匹だけのカモとか)
そう言う場合は、その近辺の数カ所を計測すれば大体の距離は判明しますんで、誤差を考慮して狙点を
考えればokだと思います。
それと『将来のライフル射撃の為にも、もっと高性能なモノを』って言う人も居ますけど、実際の猟場で、
400m以上の距離で撃つケースって、そんなにあるモンなんですかね〜?
普通に考えて、最初の装薬なら、最も精度が高くてもハーフライフルの銃でしょうし、その射撃レンジ
なら400mクラスので十分だと思いますがどうなんでしょうか?
まぁ、装薬銃を持ってない豆鉄砲の考えなんで、どうでもイイと思いますけど、要は業者のセールストーク
に騙されないコトが重要だと思います。

弾道計算ソフト
本来であれば、各距離における着弾位置を実射で確認するべきなんですが、日本の場合は、事実上不可能
です。そう言う場合にフリーの計算ソフトがあるんで、ちょっと使ってみると便利だったりしますが、
それを信奉し過ぎるのは、ちょっと危険です。
よくあるのが、計算ソフトの結果と実射の結果が違った場合、計算ソフトの結果を軸に考えて、なんで
実射データーが違っているのか悩んでしまうケースですね。そう言う時には、実射データーを軸にして
下さい。猟期に入る前に、使用する銃と弾の、各距離のドロップ量を予め調べておくと、猟場での狙い
越しとかに役に立ったりします。

ミルドット
MOAとか計算方法とか、そう言うのは、猟期が終わった後の時間がある時に、ゆっくりと勉強しましょう。
今覚えるべきことは、スコープメーカーが指定した倍率(大体は最大倍率、豆鉄砲のスコープだと10倍)
において、ミルドットの団子と団子の間の1ミルは、100m→10cm、50m→5cm、30m→3cm、10m→1cmと
言う関係です。
ですから上記の弾道計算ソフトと組み合わせれば、おおよその距離による狙い越し量と言うのが判ると
思います。

簡易チャート
弾道計算ソフトとミルドットで、各距離の着弾位置が判明しても、場合によってはスコープの使用倍率
によって、ミルドットがそのまま使えないケースもあると思います。豆鉄砲も猟では12倍を使用してい
るので、ミルドットがそのまま使えません。そう言う場合は、単純に『指定倍率/使用倍率』を計算して、
運用しちゃいましょう。豆鉄砲の場合だと、10(指定倍率)/12(使用倍率)=0.83なので、各距離の1ミル
辺りの長さに0.83を掛ければ近似値が出ると思います。あとは、ついでなんで海外のサイトとかで紹介
されるような、簡易チャートも作ってしまいましょう。
これは豆鉄砲が使用している簡易チャートで、
特に珍しいモノではありません。これだと、直
感的に距離の違いによる狙点の変更が出来
ますが、この簡易チャートは作成時には弾道
計算ソフトを用いた、擬似的なものなので、獲
物をゲットした後は、着弾位置を調べて、簡易
チャートにフィードバックさせるのが肝心です。
恐らく、弾道計算ソフトの結果とズレがあると思
います。
作成は、コンパスと定規があれは手書きでも作
れますが、パソコンで作る場合はフリーのCAD
ソフトとか、それに類するもので作れます。豆鉄砲
はJw_cadで作ってみました。
参考→豆知識 簡易チャート


三時限目 獲物の生態とその対策
解禁直後は、獲物も学習していないので、結構容易に接近出来たり、猟果も出ますが、時間が経つと、
確実に学習するのか、接近すら許してくれません。姿を晒せば、『オイオイ、この距離で飛ぶかよ〜』
ってなります。どの報告書か論文だったか忘れましたが、近畿地方の、ため池のカモの生態かなにかを
調べたものに、カモ類が70cm以上の高さを持つものが近づくと逃げると言う記述があった気がします。
その他にも、大きな音がするような場所でも逃げると報告がありました。しかし、時間が経過して、
そう言ったモノに危険が無いコトを学習すると、逃げなくなるとのことでした。

ですから獲物に接近する時には、なるべく障害物などを利用するか、姿勢を低くして獲物の視界に入ら
ないようにして射撃ポイントに入りましょう。視界にさえ入っていなければ、話をしたり、タバコを吸
っていても以外と獲物は逃げません。
それと獲物を狙う時には、安定した射撃姿勢を作り、確実にバイタルを狙いましょう。
もしも安定した射撃姿勢を取るより前に獲物に逃げられるようであれば、それは獲物への接近方法が
大胆すぎるからですので、もう少し慎重に、ストーキングを意識して獲物に接近しましょう。
迷彩を使うなら軍用だと、砂漠系の色を使うと、猟場にマッチしますが、場合によっては、他のハンター
に誤射される危険があるので、時と場所を考えて、十分に注意しましょう。素材を選ぶ時には、光を反射
してしまうようなナイロン系は避けるべきだと思います。使い勝手は悪いですが、やっぱり天然素材系の
モノが一番だと思います。

ここまでのまとめ

いろいろとエラそうに書きましたが、結局は獲物とチャンスが豊富な猟場に巡り会えて、50mで25mmの
グルーピングが出せれば、猟果は勝手に付いて来ます。
今期は準備不足で結果が出ないかも知れません、しかし諦めずに続ければ、何時の日か結果となって、
自分自身に帰って来るので、その日まで、どうぞ諦めずに続けて下さい。
こんなこと書いてる豆鉄砲も、最初の三年間なんてロクな猟果も無かったんです。今から考えれば、
よく諦めなかったな〜と思っています、ハンターたるもの諦めたら負けです。