迷彩考
ハンター同士のよくある冗談の中の一つに(獲物に対し)「アイツらは殺気が見えるんだよ」と言うのが
あります。 コレはハンターが獲物に対し、慎重にアプローチしたのに関わらず逃げられたりする時や、
猟場で獲物に全く出会わなかった時に良く使われる冗談の一つです。
デビュー前のハンターは、コレを聞いても「単なる冗談でしょ?」と思うモノですが、実際に猟場にデビュー
して、慎重に獲物に対してアプローチしたのにも関わらず何回も獲物に逃げられると、そのうちに
「アイツらは殺気が見えるかもしれんな・・・」
と思えてしまいます。
そうなると、次に考えるのが迷彩服な訳ですが、本来はコレを導入すれば、獲物の警戒感も減って、
ハンターはその効果に満足するハズなんですが、実際に導入しても、劇的な効果みたいなモンは感じられず、
場合によっては、以前と変わらなかったりもします。
と言う訳で、今回は迷彩について考えてみたいと思います。
獲物が見ている風景
お手軽な価格で導入出来る迷彩服と言えば、軍用の迷彩服がソレに当たります。特に米軍の使用している
モザイク模様のようなデジタル迷彩は、実際に手に取って見てみるとすごく効果があるように思えます。
まぁ、湯水のごとく開発費を使って作られる軍用品ですから、当然と言えば当然です。
しかしこの最新のデジタル迷彩、豆鉄砲もデザート用のデジタル迷彩を持ってましたが、どうもピンとした
効果がイマイチ感じられませんでした。 ただ、コレを着ている人を見ると確かに迷彩効果を感じるコトが
出来ます。 この違いは何なのかと迷彩服のコトをアレコレ調べていくと、行き着いたのは、迷彩服と言うのは、
あくまで対人間用に作られたと言う事実です。 そりゃそうですよね、人間同士の戦争用の道具なんですから(笑)
そう言う訳で、迷彩服が人間の色覚を騙す為の配色なのだと言うコトが分かったトコロで、ソレじゃあ鳥類の
色覚はどんなモンかと調べてみますと・・・
爬虫類や鳥類などは、4色型色覚をもつと考えられている。これらの生物は、
ヒトでいう赤錐体、緑錐体、青錐体のほかに、波長300〜330ナノメートルの
紫外線光を感知できる錐体網膜細胞を持つ。 wikipedia 〜4色色覚〜 より引用
えっ! 鳥類って紫外線の領域まで見えるの・・・(汗)
「紫外線写真」で検索を掛けると分かると思うんですが、花とかを紫外線で撮影してみると、人間の目では
見えない模様とかが浮かび上がってきます。当然人間には紫外線は認識出来ないんで、こう言った写真は
白黒の写真ですが、こうなると、人間が見ている風景の色と、鳥類が見ている風景の色は違っている、と言う
コトになります。
コレは要するにアレですね、子供の頃にやった色覚テストみたいなモノで、この場合は、鳥が正常な色覚で、
人間が色覚異常のパターンに相当します。それでテストをしてみると、人間には見えていない数字が鳥には
普通に見えてるって状態な訳です。
そして、こう言った色覚の違いを利用しているのが、猟友会の配布する、オレンジベストですね。
多くの哺乳類は、2色色覚であるのが普通なので、赤(オレンジ)と緑は同じ色として認識してしまうコトを利用し、
ハンター同士の安全を確保してます。
ここまで分かると、今までなんで鳥に接近を気が付かれたのか、紫外線の反射をベースに考えると、なんと
なくイメージ出来ます。 頭には帽子を被ってますが、顔はそのままだと紫外線を反射して、ひょっとしたら、
鳥から見ると、妖怪の「ろくろ首」みたいに見えてたのかも知れません。 それと曇りや雨の日の方が、獲物に
気が付かれにくいと言うコトも、紫外線の反射量を考えると納得も出来ます。
となると、これから猟装を選ぶ時には、迷彩効果は当然ですが、紫外線反射のコトも考えて装備を選ぶ方が
イイのかも知れません。 そうなると、ナイロンなどのピカピカ光るような素材よりも、扱いは面倒ですが、天然
繊維などの、マットな表面のモノを選ぶ方がイイのかも知れません。
獲物が見ている風景2
迷彩効果については、4色色覚を持つ鳥の視覚の方が優秀なので、ハンターにはどうしようも出来ませんが、
だったら別の方法で獲物を騙すと言うのがハンターの本懐と言うモノです。 と言う訳で、もう一つの獲物が見て
いる風景について考えてみます。
ちょっと話は飛ぶんですが、先日、初めて1/1スケールのガンダムをチラッと見るチャンスがありました。
(橋の上の、500mぐらいの距離からです)
で、見た感想ですが、「コリャ、動く的だな・・・」ってのが正直な感想でした。
もし米軍とかが採用してアフガニスタンに実戦投入しても、多分、タリバンからRPGをボコスカ撃たれて、アッと
言う間にスクラップになるような気がします。 要するに、アホみたいに視認性がイイんですよ、色は白だし。
それで、ちょっと気になって調べたら、ガンダムの全長は18mだそうです、つまり人間の約10倍の身長です。
一方、水面に浮くカモですが、水面から頭まで、頭の位置によって多少の誤差はあると思いますが、せいぜい
18cmぐらいではないかと・・・。 となると単純に、それぞれが10倍の関係となってくるので、カモから見た人間と
言うのは、人間が見るガンダムの感覚に近いのではないのか?
それで思ったんですが、オイラたちがガンダムと言うハンターに狩られる側だとしたらどうでしょう?
ちょっと想像してみて下さい、自分がカモのように池に浮いていたら、500m先にある岸にガンダムが突然
現れる訳です。 それで今までの経験からすると、仲間がビームライフルで撃たれてるのも知ってます。
アナタなら、このまま呑気に池に浮いてますか?
オイラなら速攻で逃げますよ、痛いのイヤだし(笑)
と言うか、もっと前から接近に気が付くと思うんで、その前から逃げる準備をしていると思います。
となるとですね、今まで自分がどうやって獲物に接近していたのか、頭の中のガンダムにやらせてみて下さい。
デビューした頃の豆鉄砲の動きを、頭の中のガンダムにやらせてみましたが、正直マヌケ過ぎな動きです(笑)
ではどのようにガンダムに接近されたら気が付かないのか・・・
人によって答えは色々あるでしょうが、豆鉄砲の答えとしては、「ブラインドと匍匐前進」しかありません。
500m先にブラインドを設置され、しかも匍匐で接近されたら・・・
挙句、全身迷彩で、頭部に迷彩ネットでも装備されたら・・・
正直、豆鉄砲だと、1シーズン生き残れる自信がありません(汗)
ここまでのまとめ
獲物の視点に立ってハンターの行動を見てみると、想像以上に意味の無い動きをしてましたね。
例えば、射撃ポイントまで移動するのに、一応中腰とかで移動したコトがありましたが、コレなんて
豆鉄砲としては、移動速度と隠密行動を両立させた動きのつもりでしたが、獲物にはとっては
「アイツ、なんか変な動きしてないか?」
と警戒されていたコトでしょう。
となると、ブラインドとなるようなモノが無い場所では、変に隠れてコソコソ行動するより、逆に、
畑で農作業をしている人のような動きをする方が、良い結果をもたらすコトもありそうです。
いや〜、ハンティングって奥が深いですね、豆鉄砲は、まだまだ修行が足りません(笑)
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