09/04/01
はじめに
このたび、豆鉄砲と猟に同行されていたAさんが、亡くなられました。謹んで、ご冥福をお祈りします。
※コレはエイプリルフール用のネタで、実在のAさんはピンシャンしています
そんな訳で、今回は師匠であるAさんとの思い出を語りつつ、狩猟における師匠と言う存在の
位置づけについて語ってみようと思います。
世間知らずなハンターの末路
豆鉄砲が最初に狩猟をしようと思った時、師匠と呼べる人は居ませんでした。
まぁ、師匠というものに対して、豆鉄砲のイメージは、山林でイノシシなんぞを仕留めるグループ
のイメージがあった訳です。そう言うグループの場合、どうしても体育会系のイメージが先行して
しまって、そう言うものに馴染めないと思った豆鉄砲としては、師匠は無くてもイイかと思った訳です。
まぁ、豆鉄砲の場合、最初からエアライフルでの猟を意識していた訳で、エアライフル専門で猟を
する人も少ないかったと言うより、皆無に等しかったので、師匠を探したところで無駄だったでしょう。
それと、「師匠無しでドコまで猟が出来るのか?」と言う好奇心がありました。普通に師匠に付けば、
猟場、獲物の発見方法、猟法、etc、系統立てて学ぶことが可能でしょうが、あえて師匠も居ないような
マイナーなエアライフルを選んだ訳ですし、本とネットの力で猟果を上げて、古典的な古い考えに基づく
猟法をする人たちにアッ!と言わせてやる、と言う若さゆえの過ちと言うか、根拠の無い自信で猟に挑んだ
一年目・・・いや〜若かったですな〜お恥ずかしい(笑)
正直凹みましたね〜、だって当時見ていたハンティング系のサイトでは、エアライフルでも、獲物をビシバシ
獲っている方が居た訳ですよ。だったら師匠無しの素人でもチョボチョボの猟果ぐらいあるかと思うじゃないですか、
でも現実は厳しゅ〜ゴザイマシタ(笑)
完全に猟という物のシビアさに打ちひしがれました○| ̄|_
そして自分の猟の方法のドコに間違いがあったのか知りたいと痛切に感じました。
最初の師匠
そこで翌年に、ダックハンティングクラブのまことさんに無理を言って、猟への同行をお願いしたところ、
あまりにも豆鉄砲のコトを不憫に思ったまことさんによって、何度かハンティングに同行させてもらう
ことが出来て、念願のアオクビ・ゲットとなりました。
この時、まことさんと一緒に猟場を廻るコトにより、カモやキジの居る猟場の雰囲気やハンティングの
方法について、勉強させてもらい、獲物もゲットするコトが出来ました。
この時に解ったのは、ベテランハンターと言うのは、何年もかけて猟場を少しづつ開拓し猟果に繋げている
と言うコトで、まったくの初心者が師匠も居ない状況でハンティングをする場合、猟場に関してはゼロから
始めなくはならないと言う厳しい現実でした。
しかしその経験によって、3年目には地元でアオクビ・ゲットとなりました、まぁ猟果は1匹だけでしたがね(笑)
Aさんとの出会い
そして4年目を迎える半年ほど前に、ひょんなことから共通の知人を介して、訳あってAさんと出会いまして、
そんな中、世間話をしてたのですが・・・
Aさん 「ところで、もし良ければ今年一緒に廻ってみない?」
と言うお誘いがありました。この時、豆鉄砲としては単なる社交辞令のお誘いだと思っていたので、
豆鉄砲 「じゃ〜お願いします」
と答えた訳ですが、てっきり社交辞令だと思っていたので、そんなコトはすっかり忘れて、
今年はどうするかと考えている猟期前に、再度、Aさんから連絡がありまして・・・
Aさん 「豆ちゃん、今年だけどね・・・」
豆鉄砲 「アレってマジな、お誘いだったんですか?(驚)」
Aさん 「冗談だと思ったの?」
豆鉄砲 「てっきり社交辞令かと・・・」
Aさん 「無理には誘わないけど、どうする?」
豆鉄砲 「是非、お願いします」
Aさん 「了解」
そんな訳で、Aさんとの猟がスタートした訳です。その後の猟果は猟日記の通りです。
ただAさんと同行するのには少しの不安もありました。それはAさんもエアライフルによる猟だからです。
エアライフルの場合、多くの場合、あくまで単独猟がメインで、複数での猟を行う場合、散弾と違って
獲物に対して、同時に発砲は出来ないので、複数での猟は成立しないのではないか?と言うようなイメージが
あるかと思いますが、豆鉄砲もそんな漠然とした不安を抱える一人だった訳です。
しかし、Aさんに案内された猟場に着いて、それは払拭されました。そこには信じがたい数の獲物が居て、
しかもアオクビとキジがメインなんです。その時点でAさんの持つ圧倒的な力量と、そんな猟場に豆鉄砲
を案内してくれる懐の深さに感服しました。
それと同時に、この人の知識と能力を覚えたいと言う思いが湧いてきました。
Aさんとの猟は、豆鉄砲にとって、常に感動的な知恵と知識の出会いの場所でした。
それには枚挙にいとまがなく、獲物の発見方法、猟法、などは当然のコトとして、複数での猟法、無線機の
効果的な運用方法、エアライフル猟としての獲物へのアプローチ方法、隠れ方など多岐に渡り、数えたら
切りがありませんでした。
Aさんとしても、当然のつもりでしているコトを、豆鉄砲が常に感動しているので、面白がって色々なコトを
教えてくれましたし、豆鉄砲としてもエアライフル・ハンターとしての最終形態を、Aさんを目標にして
猟をしていました。
模倣子 meme
しかし、そんなAさんですが、獲物の処理について一部ですが、豆鉄砲の方法に感心していたコトもありました。
それは、獲物の内臓を抜く方法です。
Aさんと一番最初に猟に行った時、獲物の処理段階になって、Aさんはガットフックを使って、慎重に獲物から
腸を抜いていました。実は豆鉄砲はこの時まで、ガットフックの存在は知っていましたが、その使用目的が全然
分っていませんでした。なぜなら、それまでの豆鉄砲の獲物の処理方法と言えば、まず最初に羽を全て毟って、
その後、ナイフで開腹して全ての内臓を手で抜く方法だったので、使いにくいガットフックを使う意味が分らな
かったからでした。
その時、豆鉄砲はガットフックを使って、慎重に腸を抜くAさんを見て「手間の掛かる面倒なコトしてるな〜」
と単純に思ってましたし、Aさんは、なんの躊躇も無く、獲物の開腹をして内臓を抜く豆鉄砲を見て、
「えっ?そんな方法アリかよ〜」と思ってたそうです。
ただ、そのコトを豆鉄砲が知ったのは、Aさんと同行して、2年目の終わり頃でした。
豆鉄砲 「いや〜あの時は、なんであんな面倒なコトしてるか分らなかったですよ」
Aさん 「コッチだって驚いたよ、と言うか『ああ〜こう言う方法もアリだな〜』ってね(笑)
しかもその後、腹腔内を水洗いしているし(笑)」
豆鉄砲 「あの、いきなり開腹して内臓を抜いて水洗いって方法って異常なんですかね?」
Aさん 「ま〜ハンターらしからぬ方法だよね(笑)」
豆鉄砲 「そうなんですか〜」
Aさん 「いや、僕の場合、ガットフックで腸だけを抜くと言うのは師匠から教わった方法だしね」
豆鉄砲 「なるほど〜」
Aさん 「豆ちゃんの場合、師匠と言える人が居なかったから、ああ言う自由な方法が出来たんだろうね〜」
豆鉄砲 「ダメな方法ですかね〜?」
Aさん 「いや、あの方がイイと思うよ、強いて言えば、僕の方法はハンター的発想で、豆ちゃんの場合、
料理人的発想だよね〜」
豆鉄砲 「ま〜食べる為に撃ってますからね〜、ところでガットフックで腸を抜いた後はど〜するんです?」
Aさん 「あの後は、ティッシュで中の血をぬぐってオシマイ」
豆鉄砲 「それだけ?」
Aさん 「そう、それだけ(笑)」
豆鉄砲 「羽を毟るのは後ですか?」
Aさん 「そう、食べる前だね」
豆鉄砲 「じゃあ〜、なんでそんな手間を掛けるんです?」
Aさん 「ま〜アレは本来、剥製とかを作る為の方法なんだろうね〜」
豆鉄砲 「Aさん、剥製なんて持ってましたっけ?」
Aさん 「全然(笑)」
豆鉄砲 「意味ないですやん(笑)」
Aさん 「意味ないね〜」
そして話は弾み・・・気が付くと、豆鉄砲はAさんに対して、猟に対する思いを話ていました。
豆鉄砲 「Aさんね、オレ、Aさんの持っている猟に纏わる全てを継承したいんですよ」
Aさん 「なんかマジメな話だね〜(笑)」
豆鉄砲 「マジですよ、Aさんと同行出来て、その猟に対する信念とかスタイルとかが理想だって思ったんです」
Aさん 「そうなの?」
豆鉄砲 「そう言う情報とかを遺伝子になぞらえて、ミームとか言うらしいんですけど、そう言うのを
受け継ぎたいんですよ」
Aさん 「へ〜」
豆鉄砲 「そりゃ、Aさんの全てを受け継ぐのは不可能だと思いますよ、それに、それにコピーするんじゃなくて
模倣するかたちになるんで、コピーされた形にも、劣化された形にもなると思います。そして幾つかは
進化する形で継承されると思うんですよ。」
Aさん 「なるほどね」
豆鉄砲 「きっと人間が狩りってモンをしてからずっと、猟のミームってのは継承されて来たと思うんですよ。それで、
その歴史の中で、その幾つかは継承されたり、消滅したり、進化したりしながら受け継がれたと思うんですよ」
Aさん 「深いね〜(笑)」
豆鉄砲 「それで今は無理ですけど、将来、弟子みたいなモンを持てたらソレを継承させたいんですよ、そうすれば
Aさんに寿命が来ても、そのミームは保持された形となって後世に伝えられると思うんですよ。
Aさんと猟をしていると、そう言うのがしたいと言うか、そう言うのをしなくちゃなんない、こう言う
ミームを絶やしちゃなんないとか思ったりする訳ですよ」
Aさん 「弟子を持てなかったら?」
豆鉄砲 「自分トコのサイトがありますモン、そこにAさんのミームを記して託します」
Aさん 「豆ちゃん、ミームの話は分ったよ、きっと後世に意味のある事になるかも知れない、でもね、今はソレを横に
置いといて、もっと猟をそのものを楽しむコトを考えなよ、肩に力入れて猟してても楽しくないよ」
豆鉄砲 「了解です。まぁ、コッチが勝手に思ってるだけなんで」
Aさん 「まぁイイや、そろそろこう言う話止めようよ〜、こう言うの慣れてないし(笑)」
豆鉄砲 「久々のイイ話で照れてるんですか?(笑)」
Aさん 「まぁね・・・話題変えよう(笑)」
豆鉄砲 「じゃ〜そんな訳で、猟場は受け継ぎますんで、安心して成仏して下さいね、ついでにコレクションも(笑)」
Aさん 「話すだけ話してオチはソレかい!(笑) いいよ、毎晩枕元に出て呪ってあげるから(笑)」
豆鉄砲 「霊媒師と護符を沢山用意してお待ちしておきますね(笑)、ところで、Aさんの師匠って、どんな人だったんですか?」
Aさん 「ボクの師匠は、山鳥専門の10年選手で、ボクより3つ程年下だったけどスゴかったね〜」
豆鉄砲 「どんな感じだったんですか、猟のスタイルって?」
Aさん 「山鳥だったから、ハードだったよ〜、最初は手加減してくれてたみたいだけど、コッチにとっては
全力で襲い掛かってくるような猟場ばっか(笑)」
豆鉄砲 「例えば?」
Aさん 「ま〜山の入り口に立つよね?で、『ちょっと登るよ〜』って上がっていくのが垂直に近い崖だったり、
ココからは、ゆっくりでイイから注意してね〜って師匠が斜面を下りるんだけどね」
豆鉄砲 「ほうほう」
Aさん 「斜面ったって、今で言うフリークライミングみたいなトコを師匠はヒョイヒョイ行っちゃうんだよ(笑)
それでさ、コッチは素人じゃない?足を踏み外したら自殺出来そうな場所を必死になってしがみついて移動
するんだよ、それでさ、やっとの思いで師匠の居る場所に到着するじゃない、そうするとさ、師匠は
既にコーヒー沸かして一服してるんだよ」
豆鉄砲 「ソレ、何かの罰ゲームですか?(汗)」
Aさん 「そんなのほんの序の口だよ、一度30m位滑落したからね〜あん時は師匠の、『沢の下りでは撃てないから弾を抜きなよ』って
言うアドバイス聞いてて良かったよ〜、弾入ってれば暴発で死んでたね(笑)」
豆鉄砲 「そん時は、師匠はど〜してました?」
Aさん 「まぁ『大丈夫〜?』って声掛けてくれたよ、幸い下りる先だったんで師匠が『待っててね〜』って声掛けてくれたよ(笑)」
豆鉄砲 「恐ろしく過酷な猟ですね〜よくケツ割らなかったですね〜」
Aさん 「そりゃ〜コッチから頼んで弟子にしてもらったからね〜、そん時に色々教えてもらったよ、足元は地下足袋
がイイとか、その地下足袋も指の又のトコは接着剤で留めた方がイイとかね〜」
豆鉄砲 「へ〜、地下足袋って接着した方がイイんですか〜」
Aさん 「又が開くと、又の間に枝とかに当たった時に激痛だからね〜、地下足袋は踏ん張りが利くから山には持って来いだね〜」
豆鉄砲 「で、その師匠には何年付いていったんです?」
Aさん 「3年ぐらいかな〜で、師匠に言って卒業させてもらって一人立ち(笑)」
豆鉄砲 「師匠はなんか言ってました?」
Aさん 「いや、『そろそろイイんじゃない』って感じで普通に卒業(笑)」
豆鉄砲 「じゃ〜その後は、しばらく山鳥専門に?」
Aさん 「冗談じゃないよ、そんなハードなコト出来るかいな、体が持たないよ(笑)それに師匠は『猟場好きに使ってよ』って
言ってくれたけど一緒に廻らないのに、人の猟場を勝手に廻れないよ、コッチにもプライドがあるしね」
豆鉄砲 「じゃ〜その後から今の猟場?」
Aさん 「いや、その後、別な仲間に誘われて、しばらくは○○県に行ってた」
豆鉄砲 「今の猟場は?」
Aさん 「○○県の帰りに偶然見つけた(笑)」
豆鉄砲 「偶然なんだ(驚)」
Aさん 「そう、まったくの偶然」
豆鉄砲 「へ〜、で、○○県ではナニ狙ってたの?」
Aさん 「散弾でキジ」
豆鉄砲 「散弾なんだ(驚)?」
Aさん 「後半はエアーも使ってたけど、メインは散弾」
豆鉄砲 「じゃ〜エアーは、今の猟場に移ってから?」
Aさん 「エアーの比率が上がったのは今の猟場からだね、最初は余興みたいなモンだったよエアーは」
豆鉄砲 「そうなんですか〜」
Aさん 「余興で使ってみたら、思ってたより良くって、そっからだね〜それでエアーの猟法を仲間と開発したのよ」
豆鉄砲 「じゃ〜今の猟のスタイルは、その当時の流れを汲んでるんだ」
Aさん 「そうだね〜当時は平均6名程度でしていたからね〜」
豆鉄砲 「当時の仲間は?」
Aさん 「ま〜色々ありましてね」
豆鉄砲 「ケンカ別れ?」
Aさん 「いや、バブルの波に飲まれて行方不明(笑)」
豆鉄砲 「リアル過ぎて笑えね〜」
Aさん 「ま〜そんなモンですよ(笑)」
豆鉄砲 「じゃ〜話は戻りますけど、Aさんの師匠とそんなハードな猟をしてたんだから、今の猟場なんて楽勝?」
Aさん 「楽勝っていうか、遊びのレベルでしょ(笑)」
豆鉄砲 「じゃ〜そんな遊びレベルの猟場でヒィヒィ言ってるオイラって・・・?」
Aさん 「役立たずのバカ(笑)」
豆鉄砲 「一刀両断ですな〜(笑)」
Aさん 「ココだけの話、そろそろ、別の弟子を取るコトも考えてるよ、今のバカ弟子を破門にして(笑)」
豆鉄砲 「心温まる話ですな〜って、弟子を育てるって概念は無いんですか?(笑)」
Aさん 「才能の無いバカ弟子を育てても意味ナイでしょ?(笑)」
豆鉄砲 「出来の悪い子ほどカワイイって言うでしょ?(笑)」
Aさん 「出来が悪すぎ(笑)」
豆鉄砲 「今日も心温まる毒舌が冴え渡りますな〜(笑)」
Aさん 「まぁ〜ね、バカ弟子に鍛えられてるから(笑)」
豆鉄砲 「オチが付いたトコで、そろそろ遅いんで寝ますか」
Aさん 「そだね、じゃ〜明日は6時ね」
豆鉄砲 「ハイハイ、毎度の10時ですね」
こうして、今振り返って思い出せば、豆鉄砲はラッキーな出会いに巡り会えたと思っています。
きっと何かの縁があったのだと思います。もし今、師匠が居るハンターの方であれば、師匠から
ミームを受け継いで、是非、自身のミームと融合させて、次の世代に伝えてあげて下さい。
もし師匠が居ないハンターの方でも、縁があればきっと素晴らしい師匠に巡り会えると思います。
どうかその時まで、ご自身のミームを大切に育てあげ、次の世代に伝えてあげて下さい。
ここまでのまとめ
※09/4/1現在
豆鉄砲 「一応コレが、Aさんが亡くなった後で上げる予定の原稿なんですけど、どうです?」
Aさん 「ま〜イイんじゃないの、でも、もう少し偉大な師匠って感じに書けない?」
豆鉄砲 「限界っスよ〜、タダでさえ、インチキ師匠なんですから〜下駄履かすのも限界ですよ」
Aさん 「ところでさ、ボクはまだ死んでないけど、なんでこの原稿がアップされてるの?」
豆鉄砲 「そりゃ〜Aさんが成仏するのを待ってたら、このサイトが先に消滅しそうだし(笑)」
Aさん 「確かにね〜、ま〜しっかし、いい加減なサイトだね〜」
豆鉄砲 「タイトルに『日本で2番目にいい加減』って入ってますから」
Aさん 「あ〜そうだったね〜納得(笑)」
※コレはエイプリルフール用のネタで、実在のAさんはピンシャンしています
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