個人輸入2
豆鉄砲も昔は個人輸入でアレコレとモノを輸入していた訳ですが、ここ数年は必要なモノも無くなり
まして、個人輸入をしていませんでした。
しかし、久々に必要なモノがあったんで、猟期前に手に入れようと海外のサイトを覗いたのですが・・・
いや〜驚いた、数年前なら輸出してくれるお店を見つければ、後は銃などの御禁制の品を除けば輸入ok
だったんですが、様子が変わっています。

ま〜最初に見に行ったのはアウトドア系のお店では有名なカベラスだったんですけどね、結構な数で、
輸出規制品扱いみたいになっているんですよ、それも普通のアウトドア用品とかが(汗)

この様子じゃ、エアライフルの本場エゲレスとかでも規制があるんじゃ?と思って覗いてみたら
 ・4倍以上のスコープの輸出はエゲレスの法律で禁止されたんで輸出しないよ〜(意訳)
 ・支払い方法もカードじゃダメよ〜ん(意訳)

って、マジっスか○| ̄|_ いや〜数年前はラクだったのにな〜、まぁ海外のショップとのトラブルの話
も聞いていたので、ある程度は予想していましたが、ここまで面倒な状態になっているとは・・・(泣)

まぁ、あちらから輸出してもらう時の規制以外にも、日本の税関でストップしたりと、色々な話を聞いて
いますので、ここらでもう一度、個人輸入について勉強しなおしてみようと思います。

個人輸入の立ち位置
どうもですね、海外からの個人輸入と言うのが一般的になったせいか、人によっては、国内通販の規模
がデカくなったバージョンぐらいに勘違いしている人が居るみたいなんですね。それでどうもこの辺りが
全てのトラブルの元凶な気がするんですが、順を追っていきましょう。

まずですね、日本では海外から輸入をする場合は、基本的に全て許可が必要なんです。それで中には
輸入に制限があったりするものもあります。つまりは輸入するのには、色々な書類をお上に提出せにゃ
ならん訳ですね。まぁ中には、規制の緩いものもありますが、基本は同じです。

それでですね、個人輸入に関してはアメリカからの外圧と聞いていますが、なんでもアメリカとの貿易
黒字でブイブイ言わせてた頃の日本に対して、貿易赤字でヘロヘロになったアメリカが、少しでもその
貿易赤字を解消する為に、「日本人がアメリカのモノを買わないのは、個人輸入に障壁があるからだ〜」とか
「もっと個人輸入をしやすくしろ〜」って毎度お騒がせなジャイアニズム炸裂によって、日本としても
「じゃ〜個人輸入だけは別枠にして規制緩和しますよ、チッ、ジャイアンめ!」となったらしいです。
まぁこのおかげで、比較的簡単に個人輸入が出来る訳ですんで、豆鉄砲はジャイアンに感謝しときます(笑)

そして、この個人輸入と言うのは、あくまで「個人」で使用する分には輸入の手続きは簡略化しますか
らね、と言うコトなんで、「送料を浮かす為に、友人の分まで一緒に輸入する」とか、「多目に輸入して
後から誰かに販売しよう」とかするのは御法度なんですね。

そう言うのは個人でなく、「輸入業」としての扱いになるんで、本当は先程書いたように許可が必要に
なるんです。
まぁそう言う訳なんですが、オークションサイトとか見ると、明らかに販売目的で個人輸入したようなモノが
溢れているんですよね〜(笑)

しかし、お役人もバカじゃ〜ありませんから、そう言うのを野放しになんかしません。怪しければビシバシ
取り締まりに掛かる訳ですね。それでこの時に税関から説明を求められてシドロモドロになったり、税関の
職員が、一見許可が必要そうだな〜と思えば「これの輸入許可は?」って言って来る訳ですね。

※本来はこの後、10行程続くのですが、今回は、あえて省略(笑)

とまぁ、ここまでが日本国内だけの問題なのですが、この後、訳あって荷物を放棄した場合とか、
輸出国に返品とかする辺りから、輸出してくれたお店を巻き込む、お金の問題が発生します。
要するに日本人の客が、商品が手元に届かなかったからと支払いを拒否したりするケースですね。

輸出したお店からすれば、「それは買ったオマエの問題だろうが!」となる訳ですが、週末の大手家電
量販店とかで、時給800円位のアルバイト店員に向かって、接客態度がどうこうとか文句をつけている輩
ほど、こう言う時に「お客様は神様だろ、アアン?」とばかりに、カード会社を通じて支払いをストップ
しちゃったりするんですよね〜。
それで終いには、「個人輸入でトラブったけど、毛唐相手に支払い止めてやったぜ!へっへっへっ」
って武勇伝にしちゃったりする訳ですよ、ホント勘弁して欲しいんてすけどね(汗)

当然、輸出した店とは揉め事になって、最終的にはお金を払うんでしょうけど、当の輸出した側の店からすれば
「ジャップなんかに二度と出荷なんかしね〜ぜ!」ってなって日本向けの輸出を辞めちゃうんですよね〜、
せっかく輸出してくれる店だったのに・・・

まぁそう言う訳なんで、輸出をしてくれるお店は大切なんで、皆さん大事に利用しましょう。
そして、良かれと思って人に個人輸入の方法や店舗を教えると、自分が教える時には人を選べても、
教えた人が誰彼構わず人に教えて、上記のようなトラブルを引き起こす可能性があるので、例えケチと
言われてもこの手の話をする時は十分に注意しましょう。

代理店は本当にボッタクリか?
こうして、最初はビクビクしながら始めた個人輸入も、回を重ねる事に自信が付いて来て、海外サイ
トのお店を見ていると皆さん、必ず同じ病気を発症します、それはハシカみたいなモンなんですが・・・

「代理店の値段は海外の3倍じゃん!コレって業者のボッタクリだろ!ふざけんな!」病(笑)

いや〜正直、豆鉄砲も一時、深刻ではありませんが、そう言う病気になったコトがありますが、今では
完治していますので、全国の銃砲店の皆様ご安心下さい、皆様があっての鉄砲ライフですから(笑)

そんな訳で、そんなに代理店がホッタクリと言うのなら、そう言う方はどうなったら納得されるので
しょうか?とりあえず海外との3倍の価格差を是正して、海外価格+10%、海外からの送料等は実費辺り
で納得されるでしょうか?

そうするとナニが起きるのか、ちょっと最悪のケースで考えてみましょう。

輸入代理店が消えた日
ある年の夏の選挙だった、それまで半世紀以上に渡って与党だった政党が惨敗した。
そして代わって政権をとった人民党は、国の予算内容を精査する為「事業仕分け」と言うものを行い、
その様子はインターネット回線を使って完全中継され、杜撰な予算内容が白日の元に晒された。
それはまるで人民裁判のようだったが、世論はそれを大歓迎した。

そしてその波は国家予算の内容だけでなく、なぜか民間企業の業務内容にまで及んだ。

そんな中、「人民の生活を守る」と言うスローガンの元、なぜか銃砲業界の輸入代理店の利幅に
ついて、あまりに暴利を貪っており、その杜撰な業務内容は「事業仕分け」同様、精査する必要
があるとされた。

そして事業仕分けの会場には、銃砲業界の見た事がある輸入代理店の面々が顔を揃えた。
簡単な挨拶の後、最初に輸入代理店側から、事業内容について簡単な説明が行われた。
それを受けて、二流グラビアタレント崩れだった人民党の女性議員の口から出たのは

「なぜ3倍でなければダメなんでしょうか?仕入れの10%じゃダメなんでしょうか?」

と言う、あまりに無知、あまりに乱暴な言葉だった。
当然、銃砲業界は、仕入れ価格の3倍で販売するのは暴利を貪ろうとしているのではなく、
修理の為の部品のストックや、その他の諸経費に消える事が説明されたが、再び議員から出た言葉は、

「単に輸入して商品を右から左に流すだけなのに、その価格構造はいかがなものでしょうか?」

と言う全てを否定する言葉だった。その後、一方的に議員から言葉が浴びせられ、銃砲業界は意見を
言うことすら許可されなかった。
そして10分間程度の審議の後、最終的に女性議員から出た言葉は、

「廃止の方向でお願いします」

と言う、まるで最初から結果が決まっているような回答だった。
この決定を受け早急に法律が制定され、それは「輸入代理業規制法」と呼ばれ、法律の基本内容は、

・輸入した商品の利益は原価の10%まで、海外からの送料や諸経費は実費にて販売する。
・輸入された物は、代理店経由でも個人が輸入したものでも修理を受け付けなくてはいけない。
・修理料金による、正規品や個人輸入品との差別が発生しないように、銃の修理には標準報酬制度が
 確立され、作業内容により点数が決められ、その点数により金額が決定された。

と言うもので、銃のユーザーからは、通称「ボッタクリ防止法」と呼ばれ。これにより、ユーザーは
海外との価格差が無くなったと大喜びし、ネット上の巨大掲示板では

「業者ザマァ」
「今までホッタクってたから当然の報い」
「やっとまともな時代になった」

などと業者を嘲笑う書き込みが目立った。中にはこの法案により、銃砲店が無くなった場合の危険性を
諭す書き込みもあったが、

「業者乙!」
「こんなところに書き込んでないでハロワに行けよ」

などと聞く耳を持たれなかった。

そして、3ヶ月後、1軒の銃砲店が深刻な事態を迎えていた。

それは地方都市にある小豆(こまめ)銃砲店だった。ここの店主の小豆(こまめ)は1年前に脱サラをして、
銃砲店を開いていた。幸い店舗はローンの終了した自宅で、退職金で改装した為、大きな借金も無く
開業出来ていた。店の売り上げは月平均120万前後、荒利は30%程度なので諸経費を払うと、贅沢は
出来ないが何とか食って行けるだけの収入があった。しかしそれも3ヶ月前までだった。
例の通称・ボッタクリ防止法によって収入が激減した。さすがに売上が40万、荒利で4万では食って
行く事すら出来ない。これをなんとか営業努力で補おうとしたが、ほとんど効果が無く、結局、最初の
うちは貯金を食いつぶし、夜にはバイトにも出たが、本業での回復が見込めない為、ついにこの日、廃
業を決意した。

この頃から、徐々に地方の小規模な銃砲店から廃業が始まった。ネット上の巨大掲示板では、廃業した
銃砲店の報告がなされ、その度に

「廃業ザマァ」
「こっちは潰れても痛くも痒くもない、業者逝ってヨシ!」

と書き込みがされた。そして小豆銃砲店が廃業してから1年後、今度は大都市に店を構える大豆(おおまめ)
銃砲店に廃業の危機が訪れた。大豆銃砲店は明治時代から続く老舗銃砲店だったが、やはり例のボッタクリ
防止法によりジリ貧となり、従業員が1人、2人と減り、今まで何とか営業を続けて来たが、もう限界だった。
明治から続く看板を、自分の代で下ろすのには躊躇したが、そうは言ってられない状況だった。

この大豆銃砲店の廃業を切っ掛けに、それから1年で全国の銃砲店が次々に廃業した。今では輸入代理店の
黒豆(くろまめ)銃砲商店しか残っていない。

全国に1軒だけの銃砲店であれば、儲けを独占出来るかと言えばそんな事は無い。
ボッタクリ防止法案によって、銃を販売しても利益は10%、銃の修理でもその金額は知れている。
そして修理の為にストックするパーツは、製造元から仕入れる時に支払いが生じる為、経理的には
在庫扱いになり、昔のように3倍の価格で販売出来ていた時には、顧客への迅速なサービスの為にも
潤沢にパーツをストックしたが、今の利益では経営を圧迫してしまう事になった為、最低限の在庫し
か置いてはいなかった。

そしてそれに追い討ちを掛けるのが、個人輸入で銃を仕入れたユーザーからの修理依頼と、パーツ販売
依頼だった。本来であれば、正規ユーザーへのサービスの意味で、銃の販売価格は確かに高かったが、
消耗品や修理パーツは海外価格と変わらない価格で提供出来た。しかしそれは、ある種の利益の付け替
えがあったから可能であったが、ボッタクリ防止法が施行されてからは、それが不可能となった。

そして法の施行から3年で、国内全ての銃砲店が廃業した。ネット上の巨大掲示板では

「ユーザーの大勝利!」
「当然の結果」
「個人輸入すれは問題ナシ!」

と何の危機感も無かったが、事態は深く静かに進行していた。

ボッタクリ防止法から5年、地方都市に住むある男は、猟期を目前に頭を抱えていた。
男のエアライフルにはエア漏れが起きていた。法律の施行前であれば、販売店か輸入代理店に銃を
送れば全ては片付いたが、2年前に国内全ての銃砲店が廃業してから事態は一転していた。

銃を修理してくれる店が無いのだ。法律の施行によって確かにユーザーは海外と同等の価格で商品が
買えたし、サービスも受けれた。しかしその価格ではとても店の維持が出来ない。
大都市の銃砲店が廃業し始めた頃、一部のユーザーが許可を取ってガンスミスを始めようと準備した
が、ソロバンを弾いてみると、バイト感覚なら可能でも本業での営業は無理だと判明し、誰も開業し
ようとしなかった。

それでは今、どのように修理が行われるのかと言えば、oリング等の消耗品は、英語力があって、パーツ
を日本に販売してくれるように、海外のお店と交渉出来る人なら、オリジナルのパーツで交換修理をする。
そんな事が出来ない普通の人は、ネット上にある、ホームセンターで買える互換パーツ情報を元に修理
をするしかない。そしてその修理は当然の事ながら、自分自身で行わなくてはならない。

中には当然、修理出来ないような人も居るので、誰かに修理を依頼したいのだが、銃の販売や製造許可
を持たない者が他人の銃を触れば銃刀法違反なので、誰も他人の銃を触れようとしない。

その男には、残念ながら銃を修理する程の能力は無かった。そこで八方手を尽くし、闇でガンスミスを
している人を紹介してもらえたが、その価格は驚きだった。基本修理代金4万円で、オリジナルパーツ
でoリングのみの全交換ならば、部品代2万円。その他のパーツの修理は別途請求と言う話だった。
もう少し負けられないのかと聞いたが、ガンスミスが言うには、闇で銃刀法を犯すリスクを背負って
この価格なら妥当な金額であり、気に入らなければ帰れと言われた。

結局、男は金を払って修理をしたが、以前よりも高くなった修理代金に、釈然とはしなかった。
そして男はふと、昔、自分が運営していたblogの事を思い出した。
それは、日本の輸入代理店の販売価格が、海外価格の3倍であり、それはボッタクリだと糾弾する記事
を書いていた事だ。それにボッタクリ防止法が施行された時には、それを賞賛もしていた。

「こんなハズじゃなかったんだけどな・・・」

男はポツリと呟いた。

                                 終


日本だけが高いのか?
え〜長々と駄文にお付き合い頂きありがとうございます。本当はもっと悲惨な末路もあったのですが、
書いていて鬱になりそうだったんで止めておきました(笑)

結局ですね、モノには適正な価格があって、そう言う意味では、確かに海外の3倍の価格がする鉄砲業界
ですけど、アフターサービスを提供し続けるには、今の価格は妥当なんじゃないかと思います。
それに毎年銃を買う訳では無いですし、壊れた時にすぐに修理出来る体制を整える為のお布施とかと思え
ば、豆鉄砲としては案外安いと思っています。

ですから豆鉄砲としては、お布施(正規価格での購入)をせず、ご利益(アフターサービス)だけは、
他の信者(お客)さんと同等なものを要求するのは、神様(正規代理店)に対してバチ当り(恥知らずな話)
だと思うんですけど、皆さんどう思います?
信仰している神様が違うんですから、困った時だけこちらの神様に助けを求められてもね〜(笑)
「アリとキリギリス」じゃないんですから、キリギリスは餓死すればイイと思います。

それに良く海外との価格差を言う人が居ますけど、海外だと日本製品も海外価格で販売されています。
以前、知り合いの方から聞いた話ですが、エゲレスから来た取引先の方が、日本で若い兄ちゃんが、
スバルのインプレッサ(飛び道具付き)に乗っているのを何回も目撃して驚いていたそうなんですよ、
(向こうじゃ、お大尽の趣味の乗り物らしいです)それで不思議に思って、エゲレスでの価格を聞いて
みたら、日本の価格の倍以上だったそうです。それで他にも話を聞くと、日本製の電子製品なんかも、
日本じゃ手頃な価格のモノが、海外では随分と高額なモノになるそうなんですよ(当然、関税とかあり
ますけどね)
結局ですね、価格差に開きはありますけど、日本では安い製品もあれば、海外では高い製品があり、
その逆の製品も存在しています。それで割高な製品を提供している業者が暴利を貪っているかと言え
ば、そこに参入するだけの価値があれば、別の業者がすぐに参入して来るでしょう。
もし銃の販売が暴利を貪れる市場なら、もっと多くの業者が参入しそうなものですが、現実は?ですね(笑)

業者がボッタクリと言う人の真意は?
それでですね、「代理店の値段は海外の3倍じゃん!コレって業者のボッタクリだろ!ふざけんな!」病
患っている方の主張を聞いてみると、色々ありますけど、特に自分で個人輸入までしている方などは、

「自分が意見を主張する事によって、海外との価格差が縮まり、適正な価格で販売して欲しいから」

と言うコトらしいんですけど、その主張が本音なのか建前なのか一発で見抜く方法があります。
それは個人輸入の方法を本人に聞いてみる事です、ネットで主張している人ならメールでもokだと思います。
その人が誰に対してもオープンに、購入店舗やその方法など、疑問に思っている事の全てを教えてくれるなら、
その主張は本物ですので、神様とその教えてくれた人に感謝して個人輸入をしてみましょう。

逆にアレコレ理由を付けて、購入店舗やその方法などの核心部分を言わないのであれば、その人は単に
文句が言いたいだけのケチ臭い人か、単に自慢したいだけの程度の低い人なんで、お付き合いには注意
が必要なんじゃないかと思います。

それでこう言う情報が公開されるとどうなるのか?と言えば輸入業の方も、個人輸入で、その方法を購入
店舗も含めて全て公開されれば、今までのような値段設定は難しくなるのではないでしょうか?それとも
それは単なる理想論でしょうか?一応、過去の例として、某21grの弾がありますが、その昔は2300円で販売
されていましたが、ペレットの輸入方法が広く知られた現在では、およそ1500円程度の価格で販売され
ていますので、ある程度は効果があると思います。

個人輸入は万能か?
これを書いているのは2010年になってからですが、2009年の夏頃に火薬が足りないと騒動が起きていま
した。豆鉄砲はエアライフルだけなので、事の重大性が分らず、対岸の火事状態でした。
しかし、知り合いの方に聞いてみると、中には「火薬が無くて困ってるんだよ」って方も居まして、
その方は昔から個人輸入とかもしていたので、豆鉄砲は「火薬って輸入しないんですか?」って聞きました。
でも話を聞くと、単に火薬の輸入と言うのはメリットが無いんだと言う話でしたので、豆鉄砲もその時は、
そんなモンなのか〜と思っていたので、細かい話は聞かなかったのですが、今回の内容を書くに当たって、
分らないながらも火薬の個人輸入について調べると、それは全く想像を絶する世界の話でした。

※いまから書く火薬の個人輸入の方法には、多分に間違いがある可能性があります。
 本当に試してみてトラブルを起こしても、豆鉄砲は一切の責任を持てませんのでご了承下さい。
 予め書いときますけど、火薬の個人輸入なんて、調べれば調べる程、狂気の沙汰ですよ、ホント

手っ取り早くカベラス辺りで、火薬の価格を調べてみると、1ポンド当たり、25ドルで購入出来ます。
家庭で保管出来る火薬の量は5kgなので、単純に11ポンド分購入出来ます。これで価格は275ドルです。
カベラスの送料なら船便だと金額の28%なので、77ドル、航空便なら95ドルです・・・って言いたいですが、
火薬を海の向こうから運ぶのには、防爆コンテナでの輸送が必要になるみたいです。
それで防爆コンテナを調べてみると、ひとつ見つけたのは、船に使うコンテナでサイズは外寸で2.0×2.2×3.6の
通常、12ftサイズと呼ばれるコンテナとほぼ同じような大きさでした。
後は航空用のジャンボジェットの腹から出てくるような、カーゴタイプの防爆コンテナでした。
ひょっとするとミカン箱みたいなサイズの防爆コンテナもあるかも知れませんが、良く分らないので
一旦保留しておきます。
それでこう言う場合の輸送手段は、当然、輸入する側の人が準備する必要があるので、どこかに頼む
必要があります。火薬なんて普通の運送屋さんに頼んでも断られるのがオチでしょうから、こう言う時は、
『ここで運べないと言われれば諦めるしかない』←ホントの話みたいです
と言われる日通さんにでも聞いてみるしかありません。まぁ日通さんの場合、個人相手の商売だと、
まともに取り合ってくれないかも知れませんが、ここはガマンの為所です。それでなんとかコンテナも
確保出来たとしましょう、もしアメリカから火薬を輸出する時に輸出許可が必要ならば、お店のボブ(仮名)
に頼んで許可を取ってもらいましょう。
当然、実費請求されると思いますし「ジャップへの輸出うぜ〜」ってなるかも知れませんが、なんとか、
がんばってもらいましょう。

さて、そろそろ日本に舞台を移しまして、輸入に当たって必要と思われるものですが、調べた範囲では、
まず公安委員会の許可が必要なようです。そして都道府県知事の許可も必要なんですが、その申請をする時には、
どこに荷揚げするのかとか、火薬の成分の提出も必要になってきます。
それで火薬の成分の提出ですが、適当な紙に「成分 火薬100%」って訳にはいきません、当然、メーカーとかが
公的な機関で分析を依頼した細かい成分表示が必要になってきます。まぁ、アメリカのお店に頼めば多分100%の確率で、

「はぁ?成分表?なんでそんなもん必要なんだよ、ファッキン・ジャップが!」

と言われるのがオチでしょうけど、なんとか店のボブ(仮名)を宥め賺して、公的な機関の発行する成分表を
送ってもらい、なんとか提出しましょう。
そうそう、その場合、原本は英語でしょうが、日本で提出する時には日本語に翻訳したものも必要になってきます。

それと都道府県知事に許可を得る時には、手数料も必要でして、25kg以下の火薬を輸入する時
には12,000円必要です。公安委員会の許可にもお金が必要だと思いますが、調べきれませんでした。
一応、この位の手続きで火薬の輸入に必要な許可証と言うのが発行されるようです。
更に追い討ちを掛けるようですが、これらの許可証を求めるのは役所ですんで、手続きは平日のみで、
さらにそれぞれの役所のへの交通費が別途必要です。

まぁこれで大体の準備は整ったので、海の向こうから火薬を防爆コンテナに載せてドンブラコと運びます。
だだっ広いコンテナの中には、火薬が5kg分なんで、ほんとチョコンって感じで、エコと言うよりエゴの
塊を運んでいるみたいなものでしょうね(笑)

コンテナが日本に着いたら、横浜か神戸か分かりませんが、着荷を指定した港まで受け取りに行き、書類を
提出して荷物を受け取ります。
それで、この港までの交通費が別途必要になりますし、ここも平日のみの営業だと思います。
更に、火薬を受け取ったら、火薬の輸入に必要な許可証は返却する必要があるそうなので、またまた
返却の為に、交通費が必要になります。

こうして、非常にアバウトな火薬の個人輸入の方法な訳ですが、肝心の費用はと言うと、コンテナ代を
除いて、火薬225ドル、都道府県の申請手数料12,000円、各交通費を雑費込みで30,000円とすると、
ここまでで、合計64,500円 5,863円/ポンド 1ドル=100円換算 となります。
この他に、恐らく調査から漏れている金額があるでしょうから、実際はこれよりも多くの金額が必要になると思います。

それでコンテナ代ですが、国産火薬を同じ分だけ買うと20万円前後なんで、先程の金額が変わらないと仮定して、
差し引き135,500円以内のコンテナ代+運送料なら何とかメリットがあります。
外国産の火薬なら、1本9,000円程度なので、差し引き34,500円以内ですね、そうでないとコンテナ代+運送料
が出ないです。と言うか、恐らくこの段階を迎えるはるか前に、多くの人が火薬の個人輸入を諦めると思います。
豆鉄砲なら、お店のボブ(仮名)に火薬の成分表を頼む当りでリタイアですね、実際はもっと前に諦めるでしょうか(笑)

そこで、ならばコンテナ輸送の部分を、何人かの共同で・・・って考えるかも知れませんが、コレは
アウトですね。共同と言っても、最終的には誰かの名義になるので、そうなると「輸入業」扱いになって、
もっと多くの許可が必要になる可能性があります。
それに国内に到着した段階で、個人で扱える量を超えているので、火薬取り扱いの資格が必要でしょうし、
そうなると保管する為の設備(火薬庫)も必要になって来るでしょう。

どうやら、やっぱり火薬の個人輸入って無理ですね、と言うか不可能ですよ、まともに考えたら。
あと唯一考えられるのは、海外からの荷物の中にコッソリ火薬を入れておく位しか考えられませんが、
そうなるとソレは密輸ですし・・・
まぁ、こう言うのは実際に火薬を個人輸入してみたと言う人に聞いてみれば、何か別の手立てがあるのかも知れませんね。
正直、銃の個人輸入をする人は居ても、火薬の個人輸入をする人が居ない理由が良く分りました。(笑)

ここまでのまとめ

まぁそんな訳で、豆鉄砲としては、正規代理店、並行品輸入業者、個人輸入の3つで、状況に合わせて
自由に購入先を選べる今の状態が一番良い気がするんですが、いかがでしょうか?