簡易チャート
 
豆鉄砲が実際に利用している簡易チャート(part.43参照)なんですが、忘れた頃にポツポツと
思い出したように問合せがあったりします(笑)
てな訳で、一見面倒そうな簡易チャートの作り方ですが、作り方の原理が解ればあとはどんな
レティクルでも作成が可能となるので作り方の紹介です。
 
T.弾道計算ソフトを入手する
豆鉄砲が利用しているのは、ChairgunProと言う弾道計算ソフトです。
これは無料で公開されているので、まだ弾道計算ソフトを入手していない方は、これを機会に
入手してみましょう。
※弾道計算ソフトはChairgunでなくても構いません、ただChairgunの場合、潜在的に使用している
 ユーザーが多いので、運が良ければ誰かに使用法を教えてもらえるかも知れません。
 あまり知られていないソフトの場合、他人と差別化が出来ますが、解らないコトは自分で調べる
 必要があるので、それぞれのメリット・デメリットを考えて利用するソフトを選んで下さい。
 
まずは、「Chairgun」で検索して該当ページにアクセスします。
普通の無料ソフトのダウンロードのように、ホイホイとダウンロードさせてくれないので、該当ページの
「お買い上げボタン」をポチッとしまして、後は通常の海外でのお買い物のように必要事項を入力します
(多分、メールアドレスと名前ぐらいの入力でokかと思いますが、ダメなら必要項目を全て入力)。
 
次のページに進むと「タダだからお金は要らないよ、次にすすめ」と出ますんで素直に次のページに進むと、
そのページか次のページの画面のどこかにダウンロードのボタンがあるので、素直にダウンロードして下さい。
ちなみに、豆鉄砲がChairgunをインストールしたのは随分前なんで、インストールのコトは殆ど覚えていません(笑)。
確かソフトをアクティブにするのにメールアドレスが必要だった気がするので、スパムとかがイヤなら予め捨アドでも
用意しといて下さい。
 
ChairgunProに必要データを入れる
この弾道計算ソフト、色々出来るみたいですが着弾位置のデータ(POI)さえあれば十分なんで、
そのデータを入手する為の最短手順のみ紹介します。
その他のデータについてアレコレ試したい人は自分で調べればイイと思いますが、こんなモンに
必要以上の労力を投入して解った気になっても、得るものは大した意味も無いんであまり過度の
期待をしてはいけません。←マジですよ(笑)
 
Chairgunで弾道計算をする為の基本ステップは3つ
 
 1.弾のデータを入力する(弾の選択)
 2.弾速or銃のパワーを入力
 3.ゼロインの距離・銃身とスコープの距離・レンジを入力
 
基本はコレだけですんで順番に説明していきます。
 



1.使用するTabの選択(どれでもok)
 ソフトが起動したら、Tabが4種類ありますが、ドレを選んでもokなので一つ選択します。
 (Tabの名前を変更したければ、Tabの上で右クリックで「Edit tab name」で変更が可能です)
 
2.ペレット(弾)の選択 その1
 弾の選択をするので、メニューを「file」→「pellet DataBase」→「open」と辿り、ファイルの選択に
 なったら「AirGunForum.tsv」または「pellet.tsv」のどちらかのファイルを選択して開く。
 (同じ名前のファイルが無くても.tsvファイルがあればソレを開く)
 
3.ペレット(弾)の選択 その2
 ペレットリストが開いたら、自分の使っている弾を選択します。
 今はわかりませんが、豆鉄砲が使った当時はFX16grの弾はリストに無かったです。
 しかしペレットの場合、名前が違っても同じ形と重量のペレットが存在するんで、そう言うモノを
 選んで 選択すればokです。(細かい違いは気にしなくて大丈夫!)
 豆鉄砲が矢鱈と「FX16gr弾」を勧めるのも、こう言う弾道計算ソフトを使う時に非常に汎用性が
 あるからなんです。
 珍しいからと言って特殊な弾を使っても、こう言う時にリストに無いと苦労します。
 ※リストに無い時は、自分で口径(calibre)・重量(weight)・BC値を入力すれば、
   多分大丈夫だと思います。ペレットリストから選択した場合、上記3つの入力は不要
 
4.使用単位の変更(インチ→メートル単位へ)
 Chairgunは外国のソフトなんで、使用する単位がインチ表示になっていますが、これでは色々
 面倒なので、インチ表示からメートル表示に変更させます。
 メニューから「configure」→「units」→「Metric(メートル)/Imperial(インチ)」で切り替え」
 
5.弾速orパワーの入力
 弾速が判明していれば、「Muzzle Velocity」に弾速を入力、弾速が解らなければ、「Energy」に
 パワーを入力して下さい。(弾速orパワーのどちらかを入力すればok)
 ※パワーを入力する時は公称で構いません、それとパワーはFPで表示されていると思うので、
   パワーを入力する時は「4.」の作業をしてインチ表示に切り替えて下さい。
 
6.ゼロインの距離・銃身とスコープの距離を入力・レンシの入力
 ゼロインの距離は「Zero Range」に自分がゼロイン設定したい距離を入力、通常なら50mでokです。
 「Scope Height」とは、銃身とスコープの距離なんで、それぞれの中心軸からの距離を測って入力します。
 「Range」レンジはどの距離まで計算をさせるかなんで、通常なら100m程度で十分だと思います。
 
 多分コレで最低限の必要項目への入力は終了しました、その他空いている項目もあると思いますが、
 あまり気にする必要はありません、必要なら自分で調べればいいですけど、労力には見合いません(笑)

7.一端確認
 ここまでの入力を終了すると、メニューの「Tool」→「Reticle」と選択するとMILDOTやHawkeの
 スコープのレティクルだと、その着弾位置が図解されますが、コレだとエレガントじゃないのと、
 違うレティクルだと応用が利かないので、応用が利くように必要なデータを入手しましょう。
 
8.POI(着弾位置)データの入手
 「Range」と「POI(着弾位置)」がこの後の作業に必要なデータです。
 データにはドロップ量だとか弾速だとか色々ありますが、そんなデータ眺めて解った気になっても
 あまり役に立たたないので、とっとと必要なデータを入手します。
 POIデータは、30m以降、5m間隔程度でPOIのデータをピックアップします。
 ただし、データは2m間隔なので、5m間隔のデータは前後のデータをピックアップして平均を出せば
 イイと思います。
 この部分あまり拘るよりも、自分自身のグルーピングデータに基づいて、現実に即したデータ収集を
 しましょう。(必要以上に拘るのはバカな証拠)
 
U.レティクルのデザイン(スケール)を理解する
普通のスコープであれば、購入時に説明書が付いてきてレティクルの各部のスケールが説明されていると
思います。
下図は豆鉄砲の使用しているスコープのデータです。


10X
M.O.A
MILS
A
34.38
10
B
17.19
5
C
3.44
1
D
51.05
14.85
E
0.75
0.18
F
51.05
14.85

このようにデータさえあれば、後は弾道計算ソフトから算出したデータに基づき、簡易チャートの作成が可能と
なってきます。
 
1.スコープ上での着弾位置を計算する
 弾道計算ソフトでPOI(着弾位置)のデータがあるんで、それをスコープのスケールに落とし込めばokですが、
 実際には設定された倍率を変更しているので、その補正をする必要があります。
 ミルドットの場合、大体は10倍のスケールでドット間が10m辺り1cmの関係ですので実際に利用するスケールに
 換算すればokです。
 豆鉄砲の使用しているスコープの場合、10倍使用時にドット間が1ミルなので、実際に使用する12倍では1ミル辺りの
 距離を、10/12倍=0.833倍にして換算すれば問題なく使えます。
 
 と言う訳で、POIのデータに基づき着弾位置を換算しますと
 


 使用倍率によるPOI(着弾位置)の換算の一例
距離(m)
POI
(cm表示)
1ミル辺りの長さ
10/12=0.833
POI
(ミル表示)
30
2.183
2.499
0.8735
40
1.87
3.332
0.5612
50
0
4.165
0
60
-3.574
4.998
-0.7151
70
-9.012
5.831
-1.5455
80
-16.484
6.664
-2.4736
90
-26.174
7.497
-3.4912
100
-38.281
8.33
-4.5956

 
これは電卓でもイイですが、excelとか使う方がラクですね。
これで、オリジナルで簡易チャートを作る下準備が出来ました。
 
メーカーによっては、レティクルのスケールをMOAでしか提供していないケースも考えられます。
そんな場合でも、慌てず騒がす落ち着いて自分の使用するスコープのレティクルスケールを
下記の参考データを元に計算してみて下さい。
 
1MOA=1/60°
100mでの1MOAは
tan(1/60)°×100(m)=0.029(m)=29mm
 
1mil=0.0573°
100mでの1milは
tan(0.0573)°×100(m)=0.1(m)=100mm=10cm
 
1MOA=0.291mil
1MIL=3.438MOA
 
計算が面倒だとか解らないと言う人は、毎回自分がゼロイン設定した距離まで獲物に接近して
撃てばokです(笑)
 
豆鉄砲の場合、猟場での使用倍率は殆ど12倍で、30m以下の限定的な状況下のみ最低倍率の3倍を使用
しているので、12倍のみの簡易チャートを作ればokですが、状況に応じて倍率を変更されている方は、
使用する倍率分だけ簡易チャートを作る必要があります。
しかし、獲物へのアプローチからサイティングまで時間的制約がある実猟の場合、出来る限りその選択肢を
減らした方がミスが少なくなります。
 
また倍率分の簡易チャートを必要としない、倍率にあわせてレティクルサイズが変更されるタイプのスコープも
ありますが、結局はトレードオフの関係なので、どちらか一方にのみメリットがあると言うコトはありません。
まぁ、豆鉄砲のこれまでの経験からすると、倍率が変更されてもレティクルのサイズはそのままの方が
イイと思います。(所詮100m程度までの獲物しか狙わないエアライフルですから)
 
V.簡易チャートの作図
簡易チャートを作図するのにはpart.43でも書きましたが、コンパスと定規でも可能ですが、正直な話、
フリーのCADソフトを使う方がラクな気がします。
※jw_cadは豆鉄砲も使用しているcadソフトですが、使っている人も多く解説サイトも多いので、
  初心者が使うのには便利なソフトだと思います。
 
 作画工程


・十字に線を引いて、
 同心円を描きます。
※1ミル=1cmとかで
 描くと計算がラクで
 イイです。
・十字と同心円の交点に、
 ミルドットの団子に相当
 する円を描き、使用して
 いるレティクルと同じデ
 ザインのモノを作ります。
※豆鉄砲の場合、必要な
 POIのデータから、縦横
 12ミル相当で作りました。
 必要に応じて、不要な
 部分はカットすればイイ
 です。
・使用倍率に合わせて
 計算したPOIの値に
 基づき、その値で円を
 描き、POI(着弾位置)を
 描きます

・円の交点であるPOI
 (着弾位置)に目印に
 なる円を描きます。

・必要な分だけこの工程
 を繰り返します
・POI(着弾位置)へ必要
 な分だけラベルを貼り
 ます

印刷工程
このまま印刷したのでは大きすぎるので、印刷のプロパティを変更して、バトラーキャップのサイズに
合わせて縮小印際を行います。
豆鉄砲の場合、jw_cadの方で縮尺を1/2程度にし(「設定」→「縮尺・読取」で変更)現物あわせで印刷の
プロパティで縮小率を決定しました。絵や写真などの印刷物の場合、どう言う原理か良く解らないのですが、
原寸大で印刷するより、大きく描いて縮小して印刷する方がナゼかモノが良く見えます。
プリンタがインクジェットの場合、後でインクが滲む恐れがあるんで、印刷したモノをコンビニなどで
コピーするとイイです。レーザープリンタがある場合はそのままでokです。
 
組み立て工程
豆鉄砲の作った簡易チャートは、表面に塩ビなどの透明な板を組み込んで印刷した簡易チャートを
固定しています(糊などは使用していません)。
透明な塩ビの板などは、この用途専用に買っても勿体無いので、商品に使われているブリスターパック
などを再利用しましょう。
ちなみに豆鉄砲が再利用したブリスターパックは、オーティスドライルブのパックでした(笑)
プリスターパックを円形に切るのにはコンパスなどは必要なく、バトラーキャップを使って、ペンなどで
直接サイズを描いてハサミで切ればokです(気持ち大きく切って現物あわせで調整すればok)
 
と言う訳で、豆知識としては少し分量が多かったですが、簡易チャートの作り方の紹介でした。
この作り方なら、弾道計算ソフトでPOI(着弾位置)が判明すれば、どんなデザインのレティクルでも
対応できます。
それと大事なのは、弾道計算ソフトが導き出したPOI(着弾位置)はあくまで目安なんで、あとは実猟
での射撃結果に基づき、その傾向を見て適時チャートの修正を行ってください。
※基本的には、「この距離なら気持ち上(下)で・・・」程度で十分です。