〆る
ある程度ハンティングをしていると、どうしても、とある場面に出会います。
ソレは半矢となった獲物を〆ると言う行為です。〆ると言う行為は命を頂くと言うコトな訳ですが、
その行為を銃で行うのと、自らの手で行うとでは、気持ちに変化があるんですよね〜、そんな訳で、
〆ると言う行為についてのお話です。
最初の獲物
豆鉄砲の最初の獲物はキジバトでした。距離は30m程度だったと思います。スコープの中に獲物を捕ら
えてレチクルをキジバトの胸辺りに合わせて引き金を引く時に、既に心臓はバクバクの状態・・・
心の中で、「今から獲物の命を奪うけどホントにイイの?」と言う気持ちと、「初獲物ゲットするぞ〜」
と言う気持ちが激しく葛藤していました。
そして、結局、引き金を引いて最初の獲物のキジバトをゲットしました。回収した時には既に絶命していて、
心の中で、「やった〜」と言う気持ちと「とうとう、やってしまった・・・」と言う気持ちが複雑に絡んでいました。
その後、回数を重ねる事に「とうとう、やってしまった・・・」と言う気持ちは薄れ、何時しか獲物をゲットしても
「やった〜」と言う気持ちしか感じなくなってしまいました。
と言うものの、初年度はキジバト3匹程度の猟果だったんですがね・・・(汗)
自分で〆た
ただ、一度だけキジバトの半矢に遭遇したことがありました。距離は30m程度だったでしょうか、回収
に向かうと、キジバトはまだ生きていました。今から考えると、少し待てば、そのまま死んでしまった
のでしょうが、その時は、スグにでもラクにしてあげたいと、ナイフを取り出して、首を切断しました。
他の〆方
その後に見たコトのある〆方は、カモでした。半矢で回収されたカモを両手で持って。頭を地面に
叩きつけて〆ると言う方法でした。最初に見たときはドン引きでしたね、ハイ。確かに速やかに獲物を
〆るコトが出来るのでしょうが、何か納得出来ないと言うか、可愛そうと言うか、言葉に言い表せない
矛盾した複雑な感情が心に渦巻いていました。
それまでもエアーは一発勝負なので、バイタルを狙うコトを心がけてきましたが、その時からでしょうか、
豆鉄砲の中で、半矢になる可能性がある獲物は、絶対に撃たないと言うルールを自分の中で決めました。
半矢への戒め・・・
それからしばらくして、猟日記にも書いてありますが、Aさんからの誘いを受けて、一緒に猟をした時です。
猟日記で、豆鉄砲が半矢にしてしまったアオクビを狙う為に銃を構えていた時のシーンなんですが・・・
Aさん 「豆ちゃん、そうやって銃を構えてる時はしっかりと保持してなきゃダメだよ」
そう言いながら、Aさんは豆鉄砲の体をユサユサ揺らします(笑)
Aさん 「ホラ、こんなに動いちゃってる、ダメだよもっとしっかり保持しないと〜(笑)」
豆鉄砲 「Aさん、判〜ったから、ジャマだってば(笑)」
Aさん、ホント陽気なメキシコ人です(笑)
そんな遣り取りの最中、Cさんの銃が発射されて、アオクビ♂を確保しました。
猟日記では、その後のコトは書いていませんでしたが、本当はこんな出来事がありました。
Aさん 「回収できたよ〜」
豆鉄砲 「半矢ですか?」
Aさん 「半矢だね〜まだ生きてるよ」
そこで、豆鉄砲がアオクビを受け取って、頭に弾を撃ち込んで〆をしようとすると・・・
Aさん 「ど〜するの?」
豆鉄砲 「いや、〆るんですが・・・」
Aさん 「必要ないよ、ちょっと貸して」
そう言って、Aさんは半矢で暴れるアオクビを取り出し地面に置き、そしてアオクビの首を丁度、
アオクビが昼寝をする時のように曲げて動かないように手で押さえると、両手でアオクビを上から
押さえつけ始めました。アオクビは当然、暴れようとしています。
豆鉄砲 「ナニしてるんです?」
Aさん 「〆てるの」
豆鉄砲 「なんで、弾を撃ち込むとか、ナイフで首を切るとかしないんです?」
Aさん 「コレはね、僕の師匠から教わった方法なの」
豆鉄砲 「そうなんですか〜」
Aさん 「こうすると、カモが苦しんで、死んでいく様が両手に伝わるの」
アオクビを見ると、苦しさからAさんの両手を押し上げて逃げようとしていますが、Aさんがしっかり押さえ込んでる為
逃げることが出来ません。
Aさん 「そしてね、自分自身で半矢にしてまったことを獲物に詫びたり、自分自身が罪深いことを
しているって事の戒めの為にするの」
豆鉄砲 「そうなんですか・・・」
Aさん 「実際にやると分るけど、物凄い力で押し返すんだよ、両手に命が伝わってくるよ
生命への執着って言うか、必死で生きようとする意志みたいなのがね」
豆鉄砲 「・・・」
Aさん 「かわいそうだからって、中途半端にコレをすると、後で生き返るんだよね〜
そうしたら、また苦しい思いをさせないとダメでしょ?だからしっかりと〆るんだよ」
豆鉄砲 「前に見たことある方法は、カモを持って、頭を硬いトコに打ち付けてましたけど・・・?」
Aさん 「そう言う方法もあるよ、あと、首を持ってブンブン振り回す方法とかね、でもそれって命の
尊厳に対して、すごく失礼じゃないかと僕は思うんだよね」
豆鉄砲 「確かに、そう言う方法は、なんか残酷に感じますね・・・」
Aさん 「そう思うんなら、半矢を作らないように獲物を狙うことだね〜そして食べるつもりの無い
獲物は撃たないってことだね、ま〜駆除は別だけどね」
豆鉄砲 「そうですね〜オイラも食べるつもりの無い獲物を撃つのは、何か違うと思いますもんね〜」
Aさん 「僕らは、趣味としてハンティングをしているから、必要無いものまで撃つ必要はないよ」
豆鉄砲 「そうですね〜」
Aさん 「例えばさ、カモなら一日の定数は5匹だよね?」
豆鉄砲 「そうですね、ルールですからね」
Aさん 「もし、そのルールを破って、6匹目のカモを撃ったら、その瞬間に、それはハンティングから
殺戮に変わるんだよ、そしてその行為は、少なくとも趣味と言えない」
豆鉄砲 「うまい表現ですね〜」
Aさん 「他にも、食べもしない獲物をバンバン撃つ人とか、四足でも最初から、いいトコしか回収しない
つもりで撃つハンターが居たりする訳だけど、それだとハンターじゃ無くって、単なる殺戮者だ
からね〜」
豆鉄砲 「なるほどね〜今まで、言葉では説明しにくかった部分を説明出来ますね〜」
Aさん 「趣味だからこそ、そう言うルールが無ければダメなんだよ、第一、品が無いでしょ?」
豆鉄砲 「そうですね〜、ところで、この方法だと、フランスとかの窒息カモと同じ効果が期待出来そう
ですね〜」
Aさん 「なにソレ?」
豆鉄砲 「言えね、ヨーロッパとかでは、カモなんか血の味を楽しむそうなんですよ」
Aさん 「それで?」
豆鉄砲 「それでね、ヨーロッパのカモを飼育している所では、カモを〆る時に窒息させるらしいんですよ」
Aさん 「なんで?」
豆鉄砲 「そうすると、肉に血が回って、血の味を楽しめるとか書いてましたね〜」
Aさん 「へ〜」
豆鉄砲 「Aさんの師匠もソレを狙ってたんですかね?」
Aさん 「それは無いと思うな〜、やっぱ半矢への戒めとしての方法だよね」
豆鉄砲 「なるほどね〜」
Aさん 「そろそろ、〆終わったみたいだね〜」
トータル10分程だったでしょうか、アオクビの目から光は消えていました。
その後、一度だけですが、豆鉄砲自身、自分で作ってしまった半矢をその方法で〆ました。
〆ている最中、カモが、両手を押しのけようとする力は、信じられない程、力強かったです。
正直、腰が引けました・・・全てが終わった後、豆鉄砲の中で、その後のカモを狙う時の考えが変わりました。
豆鉄砲の狙点 現在と過去
現在の狙点に関して、今の豆鉄砲は以下のような考えを持っています
「当たれば死、外れれば生」
豆鉄砲の持っているS410なら、50mまでのカモでしたら、胴体に関しては確実に当てれると思っています。
しかし、胴体に弾を当てても、100%カモには逃げられてしまいます。
逃げたカモは、最終的にはブッシュ等に隠れて死を迎えます。それだったら、当たれば確実に獲物をゲット出来、
外れた時には無傷で逃げれるような狙点を探した結果が今の狙点です。
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この狙点は、獲物との距離に関係なく50m
オーバーでも、この狙点を使います。
胴体は絶対狙いません、パワーに関係無く、
無駄な殺生になると思っているからです。
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以前の狙点です、手羽元を狙って飛べなくし
ます。運が良ければ、一発です。
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現在の狙点です。ドロップ量を間違えても、あ
る程度は対応できます。当たれば確実です。
しかし、外れた場合、カモは無傷で逃げれます。
ただ、猟果によっては、以前の狙点を使ったり
もします。だって、カモ食べたいし〜(笑)
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ここまでのまとめ
さて、こんな話を知り合いの方にしたところ、以下のようなメールが帰って来ました。
「豆ちゃん大人になったね〜確かに理想だよね〜そう言うのが・・・でも、いま通っている猟場は
獲物が濃いからそう言うことが言えるんじゃないの?外しても次があるからって感じで・・・?」
え〜、おっしゃる通りでゴザイマス・・・○| ̄|_
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