はじめに 減圧振動と言う概念が提唱されたのは、「2ちゃんねる」と言う、巨大掲示板の中の、「趣 味一般」板にて提唱され、その後、現在は新設された「的スポーツ」にて展開されている。 この減圧振動の理論については、ヨタ話としては興味深く、知的好奇心をそそられるもの がある。そこで、この理論について各種の考察を行ってみたいと思う。 減圧振動理論の歴史 この理論は当初、サイクロンの構造によるものとされ、シリンダーとレシーバーとの結合パー ツが、直径12mm程度で出来ている事に端を発した。 曰く、直径12mm程度のパーツにエアー流路として、数個の穴が開けられており、その剛性 が足りない為に振動が発生し、シリンダーレストを行うと、着弾が50mで数cm上に着弾する と言うものである。 この理論はその後、減圧振動理論の懐疑派により数度に渡り否定された為、数度のバージ ョンアップが行われ、現在のスタンスとしては、おおよそとして、以下の流れとなっている。 トリガーを引く ↓ ストライカー前進 ↓ ストライカーがバルブに激突 ↓ バルブ開放 高圧空気の開放により波動が発生(この波動は最終的に振動となる) ↓ バルブ閉鎖 ↓ チャンバー内にシリンダー内の空気が移動 ↓ 結合パーツにて振動発生 又、バルブ開放時に高圧の空気の波動がペレット後端に接触すると、波動は再びバルブへと 戻る。シリンダー〜バルブ間においても同様の現象が起こる。 この波動は、波のように、ペレットが銃口を離脱するまで、何度も波動が往復し、波動は最終的 に振動へと変換されるが、バルブ〜ペレット後端とバルブ〜シリンダー間では、移動距離が違 ってくる為に、最終的に振動に変換される波動の周期がそれぞれ変わり、更に結合パーツの収 縮と膨張に伴う振動と相まって、特にシリンダーレストを行うと、着弾位置が銃床委託と比べ、上 に遷移するとされている。 科学との摺り合わせ この理論を展開するバカは、自分自身の提唱する独自の概念・用語を用いるのが好みのよう であるが、科学的視点で物事を考える時には却って不便である。そこで、現代科学の用語を用 いて考察を行う。そして・・・そろそろ、このような硬い表現は疲れるので、いつもの文体に変更す る。 あ〜疲れた(笑)さてさて、物事を順を追って考えて見ましょう。 と、その前に、以下のサイトの内容を一通り読んでみて下さい。何が書いてあるかって? 読めば解ります。 ttp://www.engineering-eye.com/rpt/shockwave/index.html ストライカーがバルブに激突すると、高圧の空気が開放される事によって衝撃波が発生しま す。この衝撃波は衝撃波管と言う実験装置で確認されています。紹介したサイトにも記述が あって、アニメーションでその動きが確認できて便利です。 バルブが開放されると発生するのは衝撃波だけではありません、もう一つ大事な膨張波が出 ます。この衝撃波と膨張波は同じものではありません。くれぐれも混同しないで下さい。 衝撃波はバルブを起点として、ペレット方向とシリンダー方向に向けて発生します。 そこで、とりあえずペレット方向に向かう衝撃波についてだけ考えてみましょう。 衝撃波のスピードは? 減圧振動理論では、この衝撃波がペレットとバルブ間を往復する事になっていますが、一体、 この衝撃波のスピードはどの程度のものなのか?理論を提唱したバカも、その具体的な数 字を上げていない為、余計な混乱を招くようです。 そこで、困った時のwiki頼みで調べて見ますと、衝撃波とは、媒質中の音速よりも速い速度、 すなわち超音速で移動する事とあります。そこで更に超音速を調べると、音速を超えると超 音速となるようです。そこで、音速を調べると大体、条件にもよりますが海上で343mとありま すので、今後計算しやすいように340mとしておきましょう。さて、ここで音速をそのまま340m としてしまうと、バカが密度を無視していると騒ぐので、密度の事も視野に入れて考え て見ます。 空気の密度・水の密度 そこで再びwikiで調べますと 水の密度 1.00 空気の密度 0.0021 となりました。そこで、200気圧の空気を銃には使うので、空気の密度を単純に200倍しますと 200気圧の空気の密度 0.42 水中での音速は1500m/sですので、200気圧の音速は1500×0.42=630m/sとなります。 さてさて、これで200気圧における音速が出ましたので、衝撃波のスピードを考えてみましょう ・・・って実際に実験して測定した訳じゃないので、多めに見積もって、3倍程度にしておきま しょう。なんで3倍かって?そりゃシャア少佐は通常の3倍のスピードで移動するからです(笑) そうすると、630m/s×3=1890m/s これで、衝撃波の速度が出ました。 でも、この数字を出しても、「それはウソだ!」とか「間違ってる!」とか言うバカが出るで しょうから、ここでもう一つ、別のアプローチから考えてみましょう。 衝撃波を求め続けて・・・ 銃のパワー(fp)を求める計算式は fp/lbs=弾の重さ(gr)×速度(feet/s)×速度(feet/s)/450240 で求められます。この式を一次方程式の変換して、パワーと弾の重量から速度を出すのが 以下の式です。 速度の二乗=fp/lbs×450240/弾の重さ(gr) 速度の二乗として出た数字は電卓の√ボタンを押せば速度が出ます。 この計算式の単位は、グレンとかフィートとか日本では聞きなれない単位なので、単位変換を して運用するのが便利です(wikiとかて変換してね) さてさて、この式をベースに35FPのパワーを持つ銃が、空撃ちした場合の弾速を求めてみま すが、空気にも重さがあるんで、空気の重量を計算しますと・・・ バレル内の空気の重量=口径/2×口径/2×3.14×バレルの長さ×空気の密度 なので =0.275 ×0.275 ×3.14× 60 × 0.0021 =0.0299202 =0.03 これでバレルの空気の重さが出ましたので、先ほどの速度を求める式に数値を入れて速度を出 しますと1778m/sとなります。 ほ〜ら、3倍のスピードの1890m/sと近いでしょ?(笑) 一発当りの放出量 そして、射撃経験に基づき、計算を行い、一発辺りの空気の放出量を求めると、200気圧の空気を 1cc程度、放出する事が解りました。 バレル内の圧力変化 そこで、今度は、バレル内をペレットが移動する時の圧力変化を計算するのですが、バレルの径は 5.5mmと判明しています。長さも60cmとすれば、大体OKだと思います。後はバルブからペレット 後端までの容量を求めるのですが、銃を分解した事が無いので、想像で考えるしかないのですが、 ネットを彷徨っていると偶然にも、エアピストルのカットモデルの写真がありました。 そこで、この写真をベースに、おおよそのバルブからペレット後端まで数値として、直径4mm、長 さを20mmと仮定します。後はエクセルを使って圧力計算を行います。ついでに、ペレットが銃口を 離脱する時間なんぞを計算します。ちなみに圧力変化は 圧力×容積=一定と言うボイルの法則で 求められます。すると、ペレットが3.2cm移動するまでは圧力が200気圧を超えています。 当然、銃にはコンプレッサーは存在しませんから、この計算は間違い・・・じゃありません。 つまりは、ペレットはバルブ開放直後からバレル内を移動をしているってことですね。そこで、更 に計算すると、ペレット後端が3.2cmを移動した所で198気圧になっているので、この距離までペレ ットが移動する時間までは最低でもバルブが開放し続けていると理解していいでしょう。 もちろん、この数字は、ライフリングの一部から空気が漏れるとかそう言うのは入っていません、 あくまで、理想状態と考えて下さい。 そこで、弾速を280m/sと仮定して、ペレットが3.2cm移動するまでの時間を計算すると、なんと瓢箪か ら駒で、バルブの最低開放時間まで判明してしまいました(笑) 当然、バルブ開放時間には誤差があ ると思うので、±20%の誤差を織り込み、更に弾速を340m/s〜250m/s(クリーニングペレット〜重量弾) まで含めると以下のバルブ開放時間が求められました。
おお〜数字の上と下では倍の開きがありますな〜バカが言っていた1/10000秒のバルブの開閉時間 の違いってのも、あながちウソじゃないかもな〜(笑) そして、このバルブ開放時間で、1890m/sの衝撃波がペレットの後端とバルブの間を何回往復出来るか ですが、ペレット移動量(3.2cm)×2(往復だから)+2cm=10.4cmですので、それぞれを計算すると以 下のようになります。
うお〜スゴイぞスゴイ!減圧振動だ〜バカが正しかった〜スゴイな〜(笑) ホントはこの後、バルブ〜シリンダーに関しても計算をしなくてはならないのですが、疲れたんで止 めてもイイですかね〜どなたかヒマな方、計算してみて下さい。 さて、これでバカは正しかったんだ、減圧振動は存在するんだ!シュラウドの分解清掃は必要なんだ! と思ってるアナタ、ちょっと待って下さい。確かに計算するだけなら振動とか出る気になれるんですが、 本当は、衝撃波がコの字型のエアー流路で、どのような振る舞いをするかが問題なんですよ。 そこで、今までは数字のオンパレードでしたが、ココからは絵を使って説明して行きましょう〜 衝撃波の直角カーブ バカは、衝撃波と膨張波を同一のモノと見ているようなので、直角のカーブを簡単に曲がれると勘違い しています。 更にこのバカの考えに拍車が掛かったのは、少し前の「的スポーツ」板で、でバカUが高知の大学 だったと思いますが、そこで公開されている、曲がった管を流れる物資の振る舞いを、数値モデルを駆使して 解析した論文を紹介してからでした。 その論文はモチロン、正しい科学の知識を持って書かれているので、間違いないと思います。 その論文の結論として、レイノルズ数が多くなる程、直角に曲がる管の中では、流れは蛇行すると言うも のでした。豆鉄砲も興味があったので、200気圧の空気のレイノルズ数を求めてみたら、管の中で蛇行する のが解りました。(豆鉄砲の計算方法が間違っている可能性もあります) でもって、バカはその論文から衝撃波が曲がれることが証明出来たと勘違いしていたようです(笑) 当然、バカとバカUの頭のレベルは同じようなモノなので、両者とも、その根本的な間違いに触れる コトなく議論は収束へとむかいました。 衝撃波と膨張波 衝撃波と膨張波の違いなんですが、エアーの流路を狭い道路だと思って下さい。衝撃波と膨張波を車に例 えると、衝撃波は直線にしか走れないチョロQ、膨張波は左右に曲がれるラジコンをイメージして下さい。そ してバルブの部分から両者が飛び出すとどうなるか・・・以下の絵で説明しましょう。 え〜お解りでしょうか?衝撃波はバルブから発生して直後にバレル方向に向けて90°上 にコースを変更したいのですが、方向を変えられないので、正面に激突します。激突して いる部分はレシーバー部です。当然、レシーバーに激突した衝撃波はエネルギーを放出 してレシーバーに振動をもたらします。そして、再び反射した場所でエネルギーを放出して 振動をもたらし・・・なんですが、衝撃波がもたらす振動のピークは、最初にレシーバーに当 たった時点でしょうね、その時が一番エネルギーがありますし。 次に反射する時にレシーバーに与えるエネルギーは最初のエネルギーの半分以下でしょうね。 そうやって考えた場合、果たして衝撃波は弾の後端まで届くのか、はたまた、ペレットの後端か らバルブまでを何度も移動出来るのか・・・答えは言わずもがなですね? ま〜こう言うコトを書くと、バカが「イイ点にお気づき・・・」とか言って来るんでしょうがね〜(笑) さて、バルブ〜ペレット後端の解析が終わったので、今度はバルブ〜シリンダー先端についても 考えてみましょう。今度はバレルまでのエアー経路と違って、直線で構成されているので期待出 来そうなんですが、大体の構造については、シリンダーとバルブの間にはチャンバーが存在します。 そしてチャンバーとシリンダーの間は細い径で結ばれているのですが、ココに衝撃波が激突すると どうなるか?手っ取り早く結論を出すと、その衝撃波の殆どが細い径で結ばれている部分を通過 出来ずに振動に変わってしまいます。残りの細い径を通過できた衝撃波は、細い管の出口で拡散 されてしまいます。更にシリンダー先端に達した衝撃波は反射して、再びバルブ方向に進行します が、再び細い管を通れる衝撃波は少なく、結局は振動に変化します。 剛性とは? さて、バカが昔から主張する、例の直径12mmほどのパーツについてなんですが、バカは 剛性がナントカと言ってますが、その剛性には、塑性剛性(壊れて元に戻らなくなるまで)と弾性 剛性(変形しても元に戻る)の二つがあるのですが、穴とかを開けて表面積が増えると、塑性剛性 のポイントが上昇します。つまりは壊れるまでに必要な力が沢山必要になる訳です。弾性剛性に ついても、同じように表面積が増えると変形しにくくなります。これは同じ太さのムクの棒とパイプを 比べると感覚的に良く解ると思います。 さて、バカはこの直径12mmの穴に200気圧の空気が通過するとオリフィスの役割をしてパーツ が伸縮すると主張する訳ですが、コレも大嘘ですね。実際にはそのパーツはシリンダーにネジ込ま れています。そうすると、直径12mmのパーツの剛性+シリンダーのネジ部分の剛性がその部分に 発生します。 万が一に、そのパーツが伸縮したら長期使用により、ネジがバカになるのは間違いないですね? 下手をすれば、使用中にシリンダーが発射されるでしょう(笑) 世界中に何丁のサイクロンが出回っていると思います?もしもそんな事故が起きれば、メーカーはPL 法とかの絡みでエライ事になりますから必死で回収するでしょう。そして、これだけネットが発達した中 で、日本はもとより、海外でもそのような事例の報告はありません。これはどう言うコトか? つまりは、そんな伸縮は無いと言う証拠ですね(笑) 結局のトコロ・・・ バルブの開放によって発生した衝撃波は、その殆どがレシーバーを振動させます。当然、バレルも シリンダーもレシーバーと繋がっているので、銃全体に振動が及びます。 そして、ペレットが前進するコトによって、反作用(反動)も生じます。 これらの振動や反動は、物質を発射する銃には必ず存在します。それはガス銃であろうと、装薬の ライフルであろうとです。べつにプレチャージだけで生じる現象ではありません。そんな都合のイイ振動 が発生する訳がありませんね、常識で考えれば(笑) さて、ではナゼにサイクロンはシリンダーでレストすると着弾が変化するのか・・・? それは既に別のサイトで言い切られていますが、「リコイルの発生方向の違い」これだけです。 ストックのみで委託した場合、レシーバーはボルト一本でストックに固定されています。別の見方をすれば、 支点は一箇所です。しかし、シリンダーでレストした場合、レシーバーはボルトとシリンダーの二箇所に支点 が出来ます。この時点で二つのレスト方法のジオメトリーは違ってきますね?違ったジオメトリーでは当然の コトとしてリコイルの発生方向は違ってきます。ま〜ベクトル計算とかををすれば、即違いが解ると思います。 終わりに さてさて、これを最後まで読まれた皆様、ここまで読んで、減圧振動に関してどう思いました? それでも減圧振動は存在して、オイラの理論が間違っていると思いますか?それとも、やっぱり 減圧振動は無かったんだな〜と思いますか? 実を言うと、恐らくこれまでに書いたコトを物理学者とかに読んでもらえば、「一部には正しい部分もあるが、 間違っている部分が多数存在する」と言われて鼻で笑われると思います。 理論のすり替えも各所に散りばめてありますしね〜(笑) ま〜ある種の疑似科学ですね(笑) 結局、バカが主張しているコトってこの程度のコトなんですね〜(笑) バカが減圧振動理論をネタとして主張しているのか、それともホンキで主張しているのか、最初はネタだ と思っていましたが、どうもホンキで主張しているようなので、ちょっと思ったコトを気が付いた人だけが読める ように書いて見ました。 皆様も世の中に溢れる偽情報に惑わされるヒマがあったら、とっとと射撃場で練習しましょう〜 なぁ〜に、獲物なんて50mでワンホールのグルーピングじゃなくて25mm程度でもバイタルに入れば 射獲出来ますから(笑) いつものページへ |